小説の名は「誰がタメ」 その①
JR千駄ヶ谷駅ホームに降り立つ泰斗。
ホームの中央にある、大きい王将の駒。
さすが将棋会館の最寄り駅千駄ヶ谷駅と、感心する泰斗。
今日は、雨竜雷と二人で将棋会館に赴き、奄美の対局を見せてもらうために来た。
泰斗自身は、将棋会館まで車で行けばいいと思っていたが、雨竜雷が千駄ヶ谷駅から歩いて将棋会館に向かいたいとの事だったので、駅で雨竜雷と待ち合わせていくことにした。
駅から、将棋会館までの道のりも小説の参考になるかもしれないからと、いうことだろう。
改札を出て、出口に着くと雨竜雷が待っていた。
当たり前といえば当たり前だが、雨竜雷に気づく人はいないみたいだ。
ジーンズにシャツとラフな格好をしている雨竜は、小説家にはとてもじゃないが見えない。
「すいません、待たせてしまいまして」と言いながら、雨竜雷に近づくと、すぐさま振り返り「全然! 早く行きましょう」と促される。
「テンション高いですね」
「当たり前ですよ! 今からプロの対局を生で見れるんだから!」
といっても、対局開始前から対局開始数手、
時間にして十分ぐらいしか対局場にはいれないのだけれど。
後は、控室でモニター越しに見る事になる。
奄美から事前に説明されて、もちろん初めから終わりまで、ずっと対局を横で見れるなんて思わなかったから、この間に森田三冠とのインタビューの時間もとった。
目の前には東京体育館がある。
雨竜雷が「早く行こうよ」と更に促してくる。




