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音のない世界  作者: 横須賀かもめ
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別れがあれば出会いもある⑥

 階段から降りてくる泰斗。

 降りながら「お父さんも、お母さんも寝たぞ」と教えてくれる泰斗。

 「進は?」と聞く。



 するとまさみが、「さっき友達の所行ってくるって」と言う。

 「こんな時に行かなくても‥‥‥」

 「こんな時だからじゃないか」と泰斗。

 「私も疲れたからそろそろ」と言うまさみ。

 「風呂入るよな?」と僕が聞く。

 「うん」と答えるまさみ。

 「じゃあ風呂沸かすよ、と後は布団だな。泰斗も泊まるよな?」と聞く。

 「おっ良いの」と泰斗。



 「もちろん」

 まさみが、風呂に入り客用の布団に入ったところで僕と泰斗は、道場の方に缶ビールを持って向った。

 道場に入ると、棺に近づき小窓を開け、お祖父ちゃんの顔を確認する僕。

 後ろから泰斗も覗く。

 お祖父ちゃんを見て、二人でうなずく。

 広い道場に布団をひき、寝る準備をする二人。



 「恵と喋ったのか?」

 「‥‥‥ちょっとだけな」

 「あの外人さんは知ってるの?」

 「あーガリクソンね! フィリピンで知り合ったバックパッカー。今は日本にいてるって」

 「わざわざ来てくれて申し訳ないね。泰斗も忙しい所、悪かったな」

 「当たり前だろ」と言いながら、道場を見渡す泰斗。

 「あの日以来だな」

 「‥‥‥そうだな。死んじゃったか、俺の保護観察官は」

 「死んじゃったな、俺の祖父ちゃん」

 「明日には燃えちまうな」

 「ああ燃えちまうな」ふと思い出して、「雨竜雷ってどんな感じ?」と聞く。




 「俺らとあんまり変わらないな。普通だな、アッ、今度将棋小説書きたいんだって」

 「雨竜雷が将棋小説ねー」

 「で、雨竜雷がお前に話し聞きたいって、いいか?」

 「俺でいいなら、もちろん」

 「それなら話ししてみるよ」

 などと話していたら、眠りについてしまった。




 やはり気を張っていたんだろう、すぐに眠りについてしまった。

 泰斗のいびきを聞きながら、寝ていると夢を見た。

 九年前、泰斗が初めてお祖父ちゃんに会った、その日の帰り道。

 当時の僕たちは、まだぎこちなくお互いを探るように接していた。




 「こ、これからどうするの?」

 「‥‥‥高校戻って、卒業して大学に行こうかなと‥‥‥」

 「それは良いね」

 「奄美君は偉いね」

 「ん何が?」




 「もう自分のやりたい事見つけて、しかもプロとして仕事してるし」

 「小さい時からしてるだけだから、泰斗君は何かしたい事ないの?」

 「したい事か‥‥‥大学行ってから見つけようかな」

 「うん、それが良いよ」

 「やりたい事、見つかったらまた相談していいかな‥‥‥」

 「もちろん」と答える僕。

 夜の風が吹いていたことを思い出した。


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