別れがあれば出会いもある⑤
その関係者だろうか? それとも彼氏なのか? と考えていると、進が「恵さんと泰斗さんを会わせるために、泰斗さんを受付にしたの?」と聞いてくる。
何も答えずにいると、「兄ちゃんお人よしだよね」と付け加える進。
もう一度恵の方を見ると、恵と目が合った。
どちらかともその視線を外す。
母親が「奄美そろそろ挨拶みたいだよ」と教えてくれる。
ああそうなんだと、立ち上がりマイクの前に立ち、覚えたての言葉を紡ぎ出す。
「本日はお忙しいところ、祖父の葬儀にご会葬くださり誠にありがとうございます。皆様から心のこもったお別れの挨拶を賜り、故人もさぞかし喜んでいると存じます。生前中のご厚誼に、厚く御礼申し上げます。私どもは未熟ではありますが、故人の教えを守り、精進していく所存です。今後とも故人同様、ご指導、ご鞭撻いただけますことをお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました」と深く頭を下げる。
下を向きながら、自分で自分を褒めてあげたいと、顔が緩んでしまう。
通夜が終わり、明日の告別式までお祖父ちゃんの遺体を道場に安置するため、誰かが道場に寝泊まりする必要があるだろうという事で、僕がその役目を仰せつかった。
というか、押し付けられただけなんだが‥‥‥。
通夜が終わって、しばらくは近所の人と我が家族が酒を飲みかわしながら、お祖父ちゃんの思い出話しに花を咲かせていた。
そこには、恵も恵の連れの外人さんも、恵の親友の緑ちゃんと旦那さんと、二人の子供の朱ちゃんの姿があった。
喋りかけようか迷ったが、葬儀会社の人が告別式の打ち合わせをしたいみたいだったので、そちらを優先した。
打ち合わせが終わった頃、我が家族を心配して早目に宴会を打ち上げたようで、まさみと泰斗が後片付けをしてくれていた。
まさみに「ありがとうな」とお礼を言う。
「こんな事、当たり前だから」とまさみ。
辺りを見回すと、誰もいない。
「お母さんとお父さん、二人とも疲れたみたいでもう寝室よ」と教えてくれる。
「泰斗さん進さんが、二人を連れて行ってる」と言う。




