別れがあれば出会いもある④
インターホンが鳴り、母が出ているようだ。
今日は、近所の色んな人が引切り無しに手伝いに来ているので、改めてお祖父ちゃんの人気があった事を感じる。
母が居間に来て「泰斗君来たよ」と教えてくれる。
「ありがとう」と言いながら玄関に向かうと、掃除を終わった、父と進とまさみと一緒にいた。
父と泰斗はあまり喋っていなかったが、進は泰斗に「わざわざ来てくれてありがとうございます」と言ったらしい。
嬉しそうに泰斗が後で、言っていた。
泰斗が「何か手伝える事あったら、言ってくれよ」と言ってきたので、それならと思い「じゃあ受付の仕事お願いしようかな」と言うと、泰斗が笑顔「オーケー」とはにかんだ。
「まぁその前に、上がれよ。 お祖父ちゃんに会ってくれよ」と言うと。
「分かった」と言って、家に上がる。
泰斗が僕の家に上がるのは、九年ぶりになる。
恵がレイプされてから一年後の、僕らが十八の歳の時になる。
少年院から出てきた時期になる。
泰斗の保護観察官をかって出たのが、何を隠そう僕のお祖父ちゃんだった。
「ただいま」と玄関を開けると、玄関先にお祖父ちゃんが仁王立ちしていた。
ビクビクした様子の泰斗に向かって、「貴様が五十嵐か!」と怒鳴りつけた。
「ちょっと祖父ちゃん」と僕が止めようとしたが、道場に無理やり連れて行こうとする。
「ちょちょっ祖父ちゃん、待った待った」という間に、お祖父ちゃんが僕の手首を掴んで
投げ飛ばされてしまった。
何がなんだが分からずに玄関先で、仰向けになっている僕に言う。
「オマエは黙ってろ! こっちに来い」と言い、泰斗を道場に連れて行くお祖父ちゃん。
後を追いかけ道場に入ると、正座で座っている泰斗とお祖父ちゃんの二人。
「お前は、相手の意思を無視して、何でもできる程自分が強いと思うか?」とお祖父ちゃんが泰斗に聞く。
「‥‥‥強くはないと思います‥‥‥」と答える泰斗。
「そうだな。正しいな、そこにいる奄美に負けたんだってな」というお祖父ちゃん。
俯く泰斗。
「お前は負けたとは思ってない、負けてやったと思ってると思うが、奄美はお前に負けたと思ってるかもしれないぞ」と言う。
俯いていた泰斗が、僕の方を見る。
何も答えられずにいる僕。
「誰がために生きようか悩んでるなら、答えは一つだぞ」とお祖父ちゃんが言う。
「自分のため、そして愛する人のためだ」と重ねてお祖父ちゃんが言う。
あれから僕ら、誰のために生きてるんだろうか?
道場での、通夜に来てくれるたくさんの人たちが、時には泣いて焼香している。
挨拶をしながら、視線の先に懐かしい、いや懐かしすぎる姿が見える。
恵の姿が‥‥‥横には外人の姿も見える。
その後ろには、恵の両親の姿も見える。
フィリピンで現地の子供の支援をする仕事をしていると聞いている。




