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音のない世界  作者: 横須賀かもめ
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別れがあれば出会いもある①

 寒さの残る四月の夜、隣の家にある桜の木も散ってしまい、散った花びらがわが家に風に誘われ落ちてくる。



 実家に帰って来て、実家の離れにある道場の入り口の前で座りながら、散った桜の花びらを眺めている。



 住居は普通の二階建てだが土地は、横山家代々持っている土地らしい。昔、お祖父ちゃんに聞いた記憶があるが、はっきり覚えていない。

 離れの道場では、お祖父ちゃんが合気道を教えていた。

 昔は、活気があり生徒も大人から子供までと多くいたが、ここ最近は子供相手に教えるだけになっていた。



 小さい時は、僕も弟も一緒に合気道を教えてもらっていた。

 僕が家を出てからは、父と母と弟と祖父が一緒に住んでいた。

 「兄ちゃん、オカンが呼んでる」と、弟の進が声をかけてくる。

 弟の進は、僕より三つ下の二十四歳。




 大学卒業後は、派遣会社に登録して、システムエンジニアの会社で派遣社員として働いている。

 仕事先が埼玉県内なので、実家から通えるからという理由で実家に住んでいる。

 身長は僕より低く、百七十ぐらいだが、体格は学生の頃ラグビーをしていたからかなり良い。肩幅と胸板が厚い。だからメガネはかけていない。




 小さい時から、何をするにも僕の後ろをついて歩いていたが、僕が奨励会に入った中学校の頃からは、あまり合わなくなった分、よく連絡を取るようになった。

 家族の近況を聞くのは、いつも進からだ。

 「オカン何て?」

「兄ちゃんに喪主してもらおうって言ってるよ」


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