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音のない世界  作者: 横須賀かもめ
29/99

三歳児の子供がリュックを背負っる姿は何事にも変えがたし可愛さである⑦

 「ドウイウシリアイ?」

 「知り合いのお祖父ちゃん」と素気なく答える恵。

 「‥‥‥ソウデスカ‥‥‥メグミガイウナラ‥‥‥」気乗りはしてないが、恵の力になりたい思いがあるガリクソン。




 「ワカリマシタ。オトモシマショウ」と微笑むガリクソン。

 「今日は家に泊まっていいよ」と言うと、「ホントデスカ! ソレハタスカリマス。オンニキリマス」

 「やっぱり日本語、上手くなってるよ」

 家にガリクソンを連れて帰ると、母が温かく迎えてくれた。




 父はガリクソンを将棋に誘い、教えてあげるという名目で、駒を全部取ってフルボッコにしていた。

 残念な父の姿を見た恵であった。

 しかし駒の動かし方などルールを覚えると、

父が押される局面も増えてくるから将棋は面白い。将棋は不思議なゲームだ。




 相手の考えを理解しないと、上手でも負ける時がある。

 棋は対話なりと言われるが、相手の手をちゃんと返して初めて対話になるが、相手が何も考えないと対応が難しい。




 そしてソフトと違って、人間だと今教えた相手の攻めだけの手を、応対するのは億劫になるものだ。

 二人が二人とも、勝手な指し手を繰り返していると見た事ない局面が現れる。

 強い人はそれすら楽しむのかもしれないが、

級位者の我々には、いら立ちがあるものだ。




 ただガリクソンの上達が早くて、最後には立派な定跡形の将棋になっていた。

 奄美のお祖父ちゃんのお見舞いに行くと伝えると、父がガジガジのサイン本を渡し、お見舞いにと言う。

 ちょっと後にガリクソンが「ガジガジッテ、ニホンデダイニンキノマンガナンデスネ」と聞いてきたので、多分この界隈だけだよと思う恵。




 次の日、あいにくの雨模様だったが、恵とガリクソンがお見舞いのため市内の病院に向かう。

 日本の雨と、フィリピンの雨は同じ雨でも感じ方が全く違う。


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