女の一番の化粧は笑顔⑤
親友であるのは間違いないのだけれど、それに加え、何かを共有している、支え合っている印象をまさみは持っている。
あまり、家族の事を話さない二人だが、奄美の祖父の話しはけっこう出る。
なんでも地元の川越で合気道の師範をしているらしい。
二人揃ってこってり絞られたと、二人がかりでも歯が全く立たなかったと言っていた。
見た目がムキムキマッチョジジイを、想像していたのだけれど、実際に会った奄美のお祖父さんは、小さく優しい人だった。
二年ほど前に、東京にお祖父さんが合気道の会合のために来た時に、まさみは会っている。
奄美が対局だったため、まさみが目的地までお祖父さんのお供をした。
お祖父さんは、優しくて穏やかで合気道をしてるなんて、とても思えなかった。
「合気道は、力は必要ないんだ。相手の力を上手く利用するのがコツなんだよ」と教えてくれた。
「奄美の小さい時って、どんなんでした?」
「小さい時は、内気な子だったね。だから将棋が合ってたんだろうね」もの凄く将棋に偏見がある。
「高校になった頃から、まぁ明るくなったかな」
「泰斗さんに会った頃ですか?」
「アイツは会ったのは、もうちょっと後だったかな、恵ちゃんとの事があった後だな」
「恵ちゃん?」
目的地までもうすぐという所で、お祖父さんが「まさみちゃんありがとう。ここまでで大丈夫」と行ってしまった。
お祖父さんを見たのはそれが最後になってしまった。
奄美とまさみは、お祖父さんとの別れのために川越に向かっている。




