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音のない世界  作者: 横須賀かもめ
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女の一番の化粧は笑顔④

「誰の担当とかあるのかな? 最近会ったりしてるの?」

「琢磨とか?」

 「もちろん」思い返してみると、三人であったのが最後だった。

 「三人で会ったのが最後かな」

 一カ月前に、僕とまさみと泰斗の三人で、泰斗の出版社近くの店に飲みに行ったのが、泰斗と会った最後である。




 珍しく酒に強い泰斗が酔って、僕とまさみとで僕の家まで連れて帰ったのを強く覚えている。

 意外そうな顔で「あっそうなの?」とまさみが言う。

 「密着ついてたからな」

 「芸能人みたい」笑いながら言う。

 「奄美と泰斗さんて地元違うの?」思い出したように聞いてくる。

 「いや同じ埼玉だけど」

 「違う埼玉でも同じところじゃないの?」

 「あー泰斗が浦和で、僕は川越」

 納得した様子で「高校一緒だったの?」

 「いいや」

 「えっ違うの? じゃあ何処で知り合ったの?」

 「何処って‥‥‥」どう答えていいんだろうか‥‥‥誰かに泰斗との出会いを話した事はない。




 いや話してはいけないとさえ思っている。

 それを話してしまうと、更に話してしまわなくてはいけない事が増える。

 不思議そうな顔でこちらを見上げているまさみ。




 まさみが見上げた顔は、どの角度から見るまさみよりも美しいと思う、未だに見とれて

しまうことがあるぐらいだ。

 という事も話すわけにはいかない。




 「高校も、地元も違って何処で会えば、あんなに仲良くなれるの?」

 「バイト先かな」と慌てて誤魔化す。

 「てかあんなにって?」と気になった事を聞いてみる。

 「こないだ酔って泊まった時に言ってたよ。

 俺は奄美の事は、何があっても守って、いや守らなければならいって!」




 驚いた!

 泰斗はそんな事を思っていたのかと‥‥‥。

 全く同じ事を思っていた。

 泰斗の事は、何があっても僕が守らないといけないと‥‥‥二人は運命共同体なんだと。

 「どうしたの怖い顔して」

 我に返り何でもないと答えようとした所に、

携帯が鳴る。

 出ると母親が祖父が亡くなったと言ってきた。


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