五十嵐泰斗と雨竜雷⑤
「どうしました?」と何か失敗したかと思って聞く泰斗。
「だ、誰ですか?」
「はい?」
「知り合いのプロ棋士って‥‥‥」
「あー横山奄美って言うんですけど、ご存知ですか?」
更に驚いたみたいで、右往左往する雨竜。
聞いてた話しと違って、動きが激しい雨竜にたじろぐ泰斗。
リサーチは完璧に間違っていると実感しながら「ど、どうしました?」と聞く。
「う、う、運命だこれは!」と興奮して喋る雨竜。
「運命って?」意味も分からず聞く泰斗。
興奮しながら「今、将棋の話しを書こうと思ってるんですよ! そんな時に変わった編集者さんが、プロ棋士と知り合いなんて‥‥‥あー運命だ!」
呆気に取られながら頷くしかない泰斗。
「アイツ、雨竜さんの小説面白って言ってましたよ」
崩れ落ちながら「う、嬉しい」
苦笑いしていると、泰斗の鞄の中の携帯が震える。
「いいですよ、出てください」と言われたので、鞄から携帯を出すと、表示が奄美であった。
「あっ奄美からです」
明らかに動揺している雨竜。
見かねて「変わりましょうか?」
「い、い、いいです。あっボク、ちょっと
トイレに」とトイレに向かう雨竜。
「そ、そうですか‥‥‥」携帯に出る泰斗。
「もしもし、今さ‥‥‥エッ、そうなの、
分かった‥‥‥俺も地元に戻るよ、うんうん、
いいよ気にするなよ、うん分かった。じゃあまた‥‥‥」
気になって雨竜が「何かありました?」と質問してきたので、「奄美の祖父が亡くなったみたいで」と答える。




