五十嵐泰斗と雨竜雷④
「やっぱり書くしかないですから‥‥‥」
「そういうもんですか? もっと驕っていいんじゃないですか?」
「驕れないですよ。というか普通よりも下なんじゃないかと思って、生きてますよ」
「売れっ子小説家なのにですか?」
「‥‥‥うーん、自分の事、天才だとか他人より優れてるとか思った事ないですよ。でも、人と違った景色見てるかもと思った事は、あるかもしれないですね」
「違う景色?」
「ちょっと違うかな、人が日々考えてる事を細かく表現するって感じかな‥‥‥大きな傷や気づきって、今の時代誰でも表現できると思うんですよね。あれがおかしい、間違ってる許せないとかって」
分かるような気がして頷く泰斗。
「でも、小さいささくれみたいな事って、
気づいていても言葉に出来ない、表現出来ないモヤモヤがあると思うんですよね。しかもそれがけっこう人の人生を影響するような傷になったりするのかなと、そういう事を表現してるすぎない、そんな感じかな」
そういう事を考えてるから、普通と違うとは思うんだが‥‥‥ 視線の先に本棚があったので、興味ついでに目で追ってみるとパソコン関連の本と小説と将棋の本が置かれている。
泰斗の前に座る雨竜に「将棋指すんですか?」と聞いてみる。
雨竜が後ろの本棚を見て「そうなんですよ。珍しいですかね?」と逆に尋ねてくる。
「あっいや、友達にプロ棋士がいてるもんで」驚きの表情を見せる雨竜。




