九話 夕食とクローゼットとお風呂
主人公は高校デビューをしようとしています(嘘)
――7時
「できましたよ真嶺さん」
「ん? ああ、夜ご飯か」
俺がニュースを見ながらボーとしていると、ミネルヴァが声を掛けてくる
食卓の上を見ると焼いた鮭に白ご飯、味噌汁にサラダが置いてあった
「へぇ日本食も出来るのか」
「ええ、洋食も和食も両方出来ますよ」
「まだ学生なのにすごな」
俺が称賛しながら席に座ると、ミネルヴァが冷たい緑茶をコップに入れて渡してくれる
ありがたく頂いておこう、うん冷たくておいしい
「ではいただきます」
「いただきます」
うむ、見た目は凄く良い。香りから鮭のバター焼きと思うのだが焼き加減は良さそうだ
綺麗なオレンジ色の身にちゃんと焼けているのを示すような黒い焦げ
箸で身を切り分けようとすると、すんなりと身が箸で切れる
やわらけっ、これで味がアウトだったら結構がっかりモノだぞ
俺は小さい鮭の欠片をご飯にのせると、口に入れる
「うまい」
「それは良かったです!」
バターの香りが口の中に広がり……俺なんで食レポしようとしてんだろう
うむ、味噌汁の具は大根のみじん切りですか。触感もあって美味しいです
サラダはゆで卵とトマトとサラダ菜ですか、あれ? ドレッシング……
「なぁミネルヴァ、ドレッシングはないのか?」
「冷蔵庫の一番上の棚に入ってますよ」
「ありがと」
俺は立ちあがると厨房の方に向かう、ちなみにこの部屋の冷蔵庫は片開きタイプです
俺は左下の取っ手に手を掛けてドアを開け、一番上の棚からドレッシングを取り出す
ふむ、市販の胡麻ドレッシングか。ナイス、俺胡麻好きなんだ
無かったらコンビニまで行こうと思っていたがあってよかった
「ミネルヴァは胡麻ドレッシング使うのか?」
「たまに使いますね」
そうか、では買い置きをしておくか。近くにスーパーないかな
「どうしました?」
「いや、特になにも」
俺は片手に胡麻ドレッシングを持って食卓に戻ると、サラダに掛ける
パクッと、美味い。これなら当分飯には困らないかな
20分ほどで夜飯を終え、一緒に食器を洗うことになった
一緒に洗いたい、なんて上目遣いで言われたら断るものも断れません
ちなみに俺は身長175cmでミネルヴァは168cmです
俺とミネルヴァが洗い役と拭き役に分かれて並んで皿洗いをしていると、ミネルヴァが口を開く
「あの、もしかして私と結婚するの嫌なんですか?」
「いきなりどうした?」
話しの流れが読めない、いきなりどうしたと言うのだろう
俺が疑問に思いながら洗い終わった皿を渡すと、拭きながら話を続けるミネルヴァ
「最初から否定的でしたし、言葉遣いにも少し敬語が混じっていたりと他人行儀感が少し」
ああ、俺は親しい友人以外には基本的に敬語だしな。そう感じるのは仕方ないのだろう
「そりゃあ前触れもなく結婚なんて言われたら否定するでしょう、あと敬語は癖ですよ」
「確かに……」
そんな話をしながらさらにもう一枚皿を洗い終える、残り2枚といったところか
「お前は確かに可愛いし嫁に欲しいが、もう少し考える時間をくれ」
「は、はい……」
俺の称賛を交えた言葉にミネルヴァが顔を赤くしながら応える、残り1枚
「まぁそれまでにさ、寧々に背後から刺されないように気をつけろよ。あいつうるさいから」
「ふふ、気をつけますね」
そう笑いながら俺は最後の皿を洗い終え、ミネルヴァに渡す
さて、確かまだ風呂を沸かしていなかったな
「じゃあ俺は風呂沸かしてきますね」
「『お沸かし』のボタンを押せば沸かせますよ」
「『お沸かし』!?」
え? 現在、日本で使われている風呂で湯を沸かすボタンは昔から変わらず『自動』だ
『お沸かし』なんてボタン聞いたことがないんですが、ちょっと見てこよう
俺は好奇心10割で風呂場に向かった
風呂とトイレは別になっているようだ、一緒だと不便だからな色々と
俺は風呂がある部屋の扉を開けると、白い色を基調とした部屋に手洗い場と左の壁に扉があった
扉の右側に端末が埋め込まれている、えっと……
『お沸かし』『おいだき』『たし湯』『呼び出し』
「…………」
本当にあったよ『お沸かし』、初めて見た……とりあえずポチっとな
扉を開けて風呂場を見てみると、1,5人くらい入りそうな浴槽にそれなりに広い洗い場
ちゃんと浴槽の排水口も仕舞ってるしお湯もちゃんと出てる
ちなみにですが、ここの風呂の排水口の開け閉めはボタンでやるようです
俺は少し手が濡れたので洗い場に掛けてあるタオル(可愛らしいクマがプリントされている)で手を拭く
俺は風呂場から出て開けっぱなしだった扉を閉めてリビングに向かう
リビングの扉を開けると、私服に着替えソファに座ってテレビを見ているミネルヴァが居た
いつの間に私服に……あ、PCの横にクローゼットがある
俺はいつの間にかPCの横に移動していた俺のボストンバッグから私服を取り出すとクローゼットを開ける
「あ……」
ん? 今ミネルヴァがなにか呟いたような……うおっ、クローゼットに女物の服がいっぱい
というか際どい服もあるな……この黒く薄いワンピースは寝間着か?
「い……い……い……」
ミネルヴァが何か言ってる、俺は顔を向けるとミネルヴァが顔を赤くしていた
「どうした? 過呼吸か?」
「いやぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
俺が声を掛けるとミネルヴァは俺の目の前に走ってきてクローゼットを閉める
その顔は耳まで赤くなっている、恥ずかしかったようだ
「み、見た?」
……ここは恐らく『見てない』というのが一番なのだろうが、嘘は付きたくない
「見た」
「いやぁぁぁぁぁ!!!!!!」
正直に言うと、ミネルヴァは悲鳴を上げて丸まった
よほど恥ずかしかったらしい
「はぁ……」
「見られた……夜伽用の服……もうお嫁に行けない……」
なんてもの買ってんだよ学生が! というかお嫁に行けないって――
「お前、俺の所に嫁ぐとか言ってなかったか?」
「え……」
あ、なんか言ってしまった。ミネルヴァが呆けて何も言えなくなっている
どうしよう……まじでどうしよう
「なんだ、その……これからよろしくな」
「え……あ、はい」
なんだろう、すごく恥ずかしい。というかヘタレた気がする
とちょうど風呂が沸いたと告げる音が聞こえた、素晴らしく良いタイミングだ
「じゃあ風呂行ってくるから」
俺は自分の鞄から就寝用浴衣と歯磨きを取り出して風呂場に向かう
ちなみに、俺は基本浴衣で寝ます
誤字・脱字があればよろしくお願いします




