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絶滅世界 (ZOMBIE LIFE)  作者: バネうさぎ
第一章 One day
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One day -7-

 結果からいうと、今日も無事に帰宅することができた。


 俺は、リュックの口を逆さにして、戦利品をダイニングテーブルにぶちまけた。

 目的の「単一電池」と「木炭」、「ガムテープ」を端に並べて、それ以外の戦利品に目を向ける。

 目的の物資以外に今回は、サプリメントを詰めてきたのだ。

 

 こんな生活を続けていると、日々の栄養計算は生存日数に直結する。

 以前に昼飯にゼリーばかり食べていたら、39度ほど熱が出たことあるのだ。

 原因はカロリー不足だと分析できており、世界がこうなってしまう前の話なので、取り立てて話題とすることもない話だ。

 それからカロリーの高い食事を食べることを心がけてきたが、バランス良く栄養を取ることも当然必要である。

 サプリメントは、この点において非常に優秀である。

 満腹感を満たすことはできないが、少量で身体のバランスを整えることができる。

 生鮮食品が失われた世界では、必須のアイテムだ。

 サプリメントについてはストックはたくさん用意してあるが、全種類を所持している訳ではない。

 今回は、普段よく口にするサプリメントに加えて、まだ所持していないものを詰めてきた。

 ビニール素材のチャック袋には、「亜鉛」や「ビタミンD」など普段口にしない栄養素が表記されている。

 俺は、サプリ用の保管庫となっている自室の本棚に取ってきたサプリを並べた後一服することにした。

 

 食料倉庫となっている弟の部屋から開封済みのプロテインの袋を持ってきて、インスタントコーヒーの粉と一緒にコーヒーカップに入れて、水を注いで混ぜた後、カップを持ってリビングのソファーに座る。

 ソファーは、いつものように俺の体重を反発し、適度な安らぎを与えてくれた。

 

 何の気なしに部屋の中を見渡すと窓をほとんど段ボールで塞がれたままの空間に16時に差し掛かっているということも相まって、一層を暗さを増してきていた。まだ季節が冬であるということもあり、18時にもなれば外は真っ暗だ。以前は街灯が点いていたのだが、発電所からの電気の供給が突然ストップし、電化製品も置物になってしまっている。

 

 軽い疲れからいい感じに眠気が誘発されており、このまま夕飯まで仮眠をとるのもアリだが、少し休んだら物資の整理をしようと思う。

 几帳面な性格ではないからこそ、こういうことに気を配らなければ、一瞬で自宅はゴミ屋敷となってしまうからだ。

 少しの休憩と物資の整頓が終わるころには19時30分、夕食の時間になっていた。

 俺は、リビングとキッチン、そしてダイニングのろうそくに火をつけて、室内の明るさを確保した後、献立について検討することにした。昼は温かいものを必ず口にするが、夜は冷めたものを食べなければならないという道理はない。


 昼食の際に、火の明かりを危惧するような発言をしたが、実際そこまで気にしている訳ではない。

 確かに明かりを発見されれば、外の住人を集めてしまうだろう。

 そして、夜は外からは明かりのある場所の様子がよくわかるが、明かりのある側からは外の様子が全くわからない。

 だが、明かりを外に漏らさなければどうということはない。


 俺の家の一階は、1LDKで、窓は扉についているものも含めて、全部で11個、全ての窓にカーテンがあり、遮光性のものに取り換えてある。。

 家にはすべての方角に向けて窓があるが、LDKリビングダイニングキッチンにある窓は6つで、北東の方角にある左隣の隣家の様子が見えない。

 そして段ボールで塞いでいない窓が、このLDKにある6つの窓のうち3つある。

 つまり、この3つの窓から漏れる明かりにさえ注意すれば、俺は快適なディナーライフを楽しむことができる。

 少し工夫すれば、小さなろうそくやカセットコンロの明かりなど簡単に隠してしまえる。

 俺は例のごとくカセットコンロを取り出して、レトルトのご飯のみを温め、鯖と焼き鳥の缶詰をおかずに夕食を終えた。

 


 寝る前に必ずすることがある。


 ‘‘歯磨き‘‘だ。


 歯の維持は、俺の最重要課題の一つだ。

 

 現状、世界に俺の通える医者はない。

 だから、病気にかかるわけにはいかない。


 そして、病気の中で俺がこの先最もかかる可能性が高いのは、ゾンビ病と虫歯である。


 ゾンビ病は感染イコール死なのだが、虫歯にかかってすぐに死ぬことはない。

 じわりじわりと痛みに苦しまなければならない。

 

 最悪歯ごと抜いてしまうこともできるが、歯を抜くのは例え麻酔があっても痛いし、歯が抜けるということは生物としての寿命を意味するという言葉を聞いたことがあるので、極力そんなリスクも避けたい。


 だから、毎日入念に歯を磨く。

 歯の生え際、歯肉、奥歯、歯の裏側を意識して徹底的に、しかし力は入れすぎない。

 歯が削れてしまうからだ。


 歯磨きが終わった後は、自由時間だ。

 

 俺は、いつも22時から24時の間に寝ている。

 その時間帯に寝ることが、次の日のコンディションに最も良い影響をもたらすからだ。


 自由時間にすることは、読書(漫画を含む)、ゾンビ日記の記帳、空想が主である。


 どれも良い睡眠への導入のために行っている。

 読書は、あまり面白いものを読みすぎるとかえって興奮して寝れなくなるので、以前読んで展開を知っている本か、自己啓発の本を読むことが多い。

 ゾンビ日記には、一日を振り返って、さらなる生存に活かせそうな経験や気づきはないかを考察して記帳している。

 空想は、例のごとく「俺」を登場人物にした突拍子もない中二病的妄想だ。

 

 これらを俺は、1か月前くらいからルーチン化させているが、俺の就寝前の精神状態はそれ以前より安定している。



************************************


以上で第一章は終わりです。


自由な内容で構いませんので評価をいただけると嬉しいです。



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