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絶滅世界 (ZOMBIE LIFE)  作者: バネうさぎ
桐山のゾンビサバイバルガイド
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桐山のゾンビサバイバルガイド -1-

 そこに訪問者が来たかどうかは床を見ればわかる。

 この町が無人化(奴らと俺を除いて)してから数か月、あらゆる空間の時間が静止した。

 

 個人宅、コンビニ、市役所、パン屋、花屋...etc


 枚挙に暇がないが、多くの施設で動いて風を起こす存在が消えた。そして壁と屋根という遮蔽物のみが残された空間では埃が繁栄した。

 埃たちは薄く、脆い天然のカーペットとして地に横たわり、そこを歩く者が現れるのを待っている。


 俺は電源を失い、自動ではなくなった自動ドアを手動でこじ開けた。

 床を確認する。

 足跡はない。

 建物内は死角が多く、コンビニといえども奥の方は暗くなっているので中に入ってから安全確認するのでは不十分だ。だから俺はこの使い古された方法を重宝している。

 "使い古されているということはそれだけ有効だということだ"

 どこかで聞いたことのあるフレーズを頭に俺は店のものを物色し始めた。


 コンビニであてにできる食べ物は意外に多い。さすがに弁当やおにぎり、パンはもう腐っているが、即席麺、菓子にドリンクと現役のものは多い。

 何にせよ、日本人がパニックになってからすぐに略奪に走らなかったのはありがたい。

 こうして俺が食事に困らずにサバイバルできているのも日本人の徹底した法律順守意識のおかげだ。


 俺はできるだけ多くを持ち帰るために即席麺の中でも小さいものをリュックに詰め、そしてその隙間を個包装された菓子類で埋めた。

 リュックを持ち上げると、見た目の膨れ具合とは正反対に軽く感じた。

 

 今回、俺はかなり遠くまで来ていた。

 いつもは自宅からせいぜい離れても1.5キロほどだが、今俺は2キロの地点にいる。

 なぜこんな危険を冒しているのかというと、新しい拠点をつくるためだ。

 

 新しく拠点を作る理由はこうだ。

 1つ目に保険のためである。俺の拠点には物資が豊富にそろってはいるがいつまでも安全にそこで過ごせるとは限らない。そこがセーフゾーンで無くなったとき、俺はまた一からのスタートを切る羽目になる。だが、拠点を複数持っていれば、そのリスクを分散させることができる。

 2つ目に行動範囲を広げるためだ。俺は自宅での籠城戦を始めて以降、そこから半径1.5キロ以上離れることがなかった。しかし、いつまでもそうしているわけにはいかない。

自宅に貯蓄した物資もいずれは底を尽きる。そして、何よりまだ別の可能性を確かめていない。つまりは一人で生きること以外の可能性だ。それは外へでない限り掴めない。

 2キロ地点おきに拠点を築いていき、いずれは隣県まで行ければと俺は考えていた。


 俺は新しい拠点の候補を探しながら県道を避けて、市道や細い路地を進んだ。この辺りのゾンビの行動パターンを把握していないので、突然奴らに出くわす可能性は極力減らしたいからだ。

道の開けた大通りを進めば、発見される危険も増える。俺が恐れているのは発見されたことに気付けないことだ。これまでの経験からゾンビは対象を一度認識すれば、対象が見えなくなっても追い続ける。

そして対象を認識したゾンビの挙動は他の一部のゾンビにも伝わる。後ろに気付けば、百鬼夜行の完成だ。


 拠点の条件は、遠くから発見されないために周囲を建造物で囲まれていること。そして、ベッド付きの一軒家であることだ。

 見る限り候補となる家は多かった。私道に入れば周囲はさほど開けておらず、家々は隙間なくきれいに並んでいる。


 どうせなら豪華な家を、と欲をかいていると中々決まらない。

 そうして同じ道をぐるぐると何週も往復しているといつの間にか太陽が沈み始めていた。


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