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他者視点です。

ハーディガン様の名前の由来は・・・・

後書きに続けます。

 目の前の侍女の姿に、自分の眉間にしわが寄るのを感じていた。


「は、離してください!!」


 そういって自分の手から引き抜こうとした彼女の手を、逆に強く握る。


「震えている・・・」

「っ!!」


 普段あまり大きく表情を変えない彼女が、珍しく頬を赤くしていた。


 どうして彼女は・・・・。


 初めて会った時から、自分の中で彼女の存在は強く印象付けられていた。



 

 末の王女を迎えに行った孤児院で出会った彼女。


 質素な服に身を包みながらも、その凛とした雰囲気は、彼女の存在を強く印象づける。


 大きく変わらない表情の中で、釣り目がちの瞳だけが末の王女を優しく見つめていた。


 冷静沈着。


 末の王女の正体を知り、こちらの事情をも理解し、その上でなお王女のためを思っての行動に出る。


 気づけば、彼女が王宮に来ることを後押ししていた。



「こ、これは・・・・」


 いつもの冷静沈着な仮面がはがれてしまった。うろうろと彷徨う視線は、彼女らしくないのに、そんな彼女の違う一面が見れて、不謹慎にも嬉しく思う自分がいた。


 孤児院から出ることが、彼女にとって不安がないわけではなかったであろう。


 それでも、王女のために王宮にきた彼女。


 けれど、やはり彼女とて人間だ。この状況に、恐怖を覚えないわけではなかったであろう。


「・・・・ハーディガン様」

「あなたは・・・・」


 何も言わない自分に、恐る恐ると言ったように口を開いた彼女。


 どうしてもっと他人を頼らないのだろうか?


 どうしてもっと自分のことを大切にしないのだろうか?


 なぜか分からない苛立ちを、感じていた。


「・・・・助けにくるのが遅くなり、申し訳ありませんでした」

「そんな!!助けにきていただけただけで十分です」


 どうしてもっと、自分を頼ってはくれないのだろうか?


「当たり前です。あなたは・・・・・・・・王女様の大切なお方です」

「そう、ですよね」


 違う、そんなことを言いたいわけではないのに、口がうまく動かない。


 ふわり、と、寂しそうに微笑んだその姿に、胸が痛んだ。けれど、何を言えばいいのか、分からない。


 懐から布を取り出し、手で裂く。細くなった布を、丁寧に手首に巻き付ける。


 細い手首だ。


 長い黒髪を結い上げているせいで見える首も、侍女の服から除く足も、ちょっと力をいれれば簡単に折れそうだ。


 布を巻いている間中、落ち着かなげにしていた彼女。


「・・・・そろそろ残党狩りも終わったでしょう」

「・・・・そうですね」


 布を巻き終わって、自分の手が離れてホッとしたのか、さっと手を引かれる。今度は、素直にその手を返す。


「行きましょう、王女様が待っています」

「はい」


 そういって背を向けたのに、一向に足音が聞こえないことに気づいて振り返る。


 そこには、信じられないものを見るように自分の足を見下ろす彼女がいた。


 ああ、やはり彼女は恐怖していたのだ。


 いつも冷静沈着に、時に厳しく、冷たく見える彼女の中で、確かに押し込められた感情たち。それは決して消せないもの。隠すことはできても、消すことはできない。


「す、すみません。今・・」


 行きます、という言葉は、驚きの悲鳴に変わった。


「申し訳ありません。しばらく辛抱してください」

「えっ、ちょ、そんな・・・」


 さっと横抱きにした彼女の体は、思った以上に軽く柔らかかった。


 暴れる彼女を落ち着かせ、落とさないように抱きなおす。


 戸惑うようにオロオロとしていた彼女の両手が、躊躇いがちに自分の服を掴むのを感じ、足を踏み出す。


 なぜこんなにも彼女のことが気になるのか、自分にはまだ分からなかった。



真面目で固い人→石っぽい→石と言えば固い

で、ハードを名前っぽい響きにしました。

家名もストーンを頭でぐるぐる回してつけました。

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