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これで完結。
結局変わらない。
ヒロインでも、そうじゃなくても。
なんだか衝撃の真実を告げられ、さらに私のまわりはバタバタとし始めました。
「ふふふっ、どうみても親子なのに、どうして気づかないのかしらねぇ?」
そうおっとりと目の前でお茶を飲むのは、なんと我が国の王妃であり、エリーの生母様。
「そう、かな?」
孤児院にいるという時点で、貴族と血のつながりがある可能性を考えられないでしょう?その考えにエリーが賛同してくれたのか、小首を傾げる。
「あの人が急に私と会わなくなってしまったので・・・」
私の横で同じようにお茶を嗜むのは宰相様であり、なんと私の父親だ。むちゃくちゃだよ転生補正。
まだ慣れなくて、むずがゆい感じがして、声も出ないし、心の中でも宰相様と呼んでいる。
生涯独身宣言の原因は、なんと私の母だったのだ。
でも、宰相様の年齢は38歳。母は、私を35歳で産んだそうなので、逆算すると当時宰相様は21歳。年の差一回り以上だ。しかも、出会ったのは成人したてだということなので、15歳と29歳の年の差恋愛。
うん、まあ、なんか両親の恋バナって、どうして恥ずかしいんだろう?
貴族の間では年の差婚はわりと多いけど、女性が年上のパターンは少ない。
高齢出産の危険性を思ってなのか、理由は分からないけれど、母が宰相様と分かれた原因は私だと思う。
でまあ、この宰相様が目下の悩みの種である。
「アステリーリア、何かほしいものはないか?」
「・・・・・」
「本が好きだと聞いたから、王宮の図書館に出入りできるようにしよう」
「・・・・・」
「アステリーリア、君の声が早く聞きたい」
「・・・・・」
お分かりいただけるだろうか?
あの眉目秀麗なお顔で、始終甘やかしにかかるのだ。私を!!父親とはいえ、近くに美形の顔があると落ち着きません!!
「あ、今日は騎士団の訓練を見に行く予定だった」
エリー、めっちゃ棒読み。
「ウェリタス様、ステラをかりますね」
「エリザベス様、私の娘を物扱いしないでいただき・・・」
「あらあら、ウェリ。そんなに急がなくても、これから親子になればいいのよ?」
私たちみたいに、そう微笑む王妃様と、エリーは、瞳だけで通じ合ったようだ。お互いふわりと微笑む。
「・・・・」
腕を引っ張られて立ち上がりながら私は宰相様を見る。
うっ、なに捨てられた犬みたいな顔してるんですか!!
え、エリ―、ちょ、ちょっと待って!!
私は大型犬のうるんだ瞳に見送られ、王女様であるエリーに今日も引きずられるのだった。
お付き合いいただきありがとうございました。
最終話は、あえていつも通りの日常が続く感じで終わらせました。
2人の仲は・・・・・番外編で、書きたい・・・。




