死闘(3)
タイムアウト終了のブザーが鳴る。
紗綾の表情が引き締まる。
(『オマエで決めてこい!』)タイムアウト中に言われた三池コーチの言葉を反芻する。
(ひとまずディフェンス!)
三池コーチの作戦は、西のドライブを防ぐため、西にボールが入った瞬間にダブルチームで当たることになった。
西にボールが回る。すかさず紗綾と栄で西をマークする。
(やっぱ来たか…。)西はそう思いながらボールを受けたその流れでドライブに入る。
(抜ける!)西はディフェンスをかわすため、一度下を向いた。ドライブしてすぐに何かにぶつかった。
(えっ?)そこには倒れた麻衣の姿があった。
「オフェンスファウル青10番、白ボール!」
(しまった!)西は唇をかむ。
「麻衣ナイスディフェンス!」紗綾が駆け寄る。
「何言ってんの、こっからでしょーが!」麻衣に軽くビンタされる。
「タイムアウト!」
三池コーチが告げる。
紗綾は麻衣を起こし、そのままベンチに戻った。
「なんでここでタイムアウト?」紗綾はきょとんとしている。
「時間考えろ。ここで取らなきゃプレスやられて終いだ。残り何秒だ?」
「23秒です。」栄が答える。
「よし、相手はもうタイムアウトはとれない。だからまず速攻で『2点』を取りにいけ!」
「2点ですか?」麻衣が訊ねる。
「そうだ。ウチに同点延長はムリだ。3点差を逆転するには今から言う方法しかない。」三池コーチは一瞬間を置いて続ける。
「紗綾に栄と優を使ってダブルでスクリーンをかけて完全フリーでもらい、そのままワンパスでゴール下まで通す。カバー出てきたら麻衣が合わせろ。これで決めれば1点差だ。大事なのはここからだ。」
「ゾーンプレスですか?」雅が汗を拭いながら言う。
「そうだ、4ファウルがいるから完全に博打だが、これしか方法がない。」
「わかりました。」雅が立ち上がる。
「行くよ!」
「はい!」紗綾達が後に続く。
「あと少しだ、楽しめ!」
三池コーチの声が響いた。




