死闘(2)
「ディフェンス!ディフェンス!」吉瀬ベンチから怒号のような叫びが響く。
その状況の中で意外にも一番冷静だったのは麻衣だった。
(こういう時こそ冷静になれ!)
オールコートディフェンスだが、麻衣はセンターなので一番後ろから冷静に試合を見れる。
(紗綾が限界に近いのを陽明はわかっているはず。そしたら紗綾がついてるエースの10番にもう一回パスを回すはず!)麻衣は紗綾サイドに寄る。
相手のガードからパスが回る。そして西に回そうとした。麻衣は素早く反応してカットした。
それを見た紗綾が駆け出す。
「行けェェェェェェ!」
紗綾はドライブで二人をかわし、さらにゴールに向かって突っ込む。その間に西が戻りきった。だがディフェンスの準備がしきれてない。そのままドライブインし、レイアップの姿勢に入る。
西が横から手を出してきたがボールはそのままリングに入った。笛が鳴る。
「ファウル青10番、バスケットカウントワンスロー!」
審判の声が響いた。
「よっしゃぁ!」誰よりも三池コーチが大声で叫び。紗綾は叫びをあげたいぐらい嬉しかったが、三池コーチの声を聞いて思わず苦笑いに変わる。
(声でけーよ…こっちがはずいわ……)
仲間が駆け寄ってくるが、紗綾の顔を見てきょとんとする。
「いや、ちょっとコーチがね……」それを聞き、みんなが納得する。
雅から肩を叩かれる。
「決めれば3点差。残り36秒ならワンチャンあるよ。」
「わかった。決めたあともう一回オールコートね。」紗綾は確認するとそのままフリースローラインの後ろに立つ。
(大丈夫。)
ボールが手から離れる。そのまま綺麗な弧を描いてリングに収まる。
「タイムアウト!」陽明の酒井コーチがむずかしい顔をしている。
(ウチらが押してる証拠だ!)紗綾達もベンチに戻る。




