エースの地獄(1)
3分前のブザーが鳴り、全員が集合する。三池コーチが話を始める。
「今日もスタートは同じだ。いいか、今日の相手は3年もいるし、明らかに格上だ。でもいつも通りのオマエらのバスケをやれば結果はついてくるはずだ。この試合を楽しんでこい!」
「はい!」そう言うと、いつもの5人がユニフォーム姿で試合に向かう。
−−陽明学園ベンチ
コーチの酒井博康が話をしていた。
「相手のオフェンスの中心は6番だ。昨日の試合からしてかなりの実力者だ。マッチアップは西、オマエだ。力の違いを見せてこい。」
西とよばれたのは背番号10、西晴香という。紗綾と同じ2年ながらスタメンである。わずか身長153センチである………。
両チームが整列した。
「これからウインターカップ県予選、陽明学園高校対吉瀬高校の試合を開始します!礼!」
「よろしくお願いします!」
試合開始。
吉瀬ボールから始まった。
紗綾は雅からパスを浮け、周りを確認する。
紗綾は自分にマッチアップしてきた西を見て驚いた。
(私より身長低っ)
紗綾は168センチだからそこまで低くはないのだが153センチの西を見るとあまりにも小さく見えた。
(よし、oneononeを仕掛けてみよう。)
そして紗綾がドリブルをしようとした瞬間−−
西がボールをカットした。
慌てて紗綾はディフェンスに戻った。
すると西にボールが回る。
そのまま西が3Pシュートを放つ。
しまった、と思ったときにはすでに遅かった。シュートチェックに出るだけのはずが、西の手に当たってしまう。
審判の笛がなる。さらにそのシュートが入ってしまった。
「カウント、3点。ファウル白6番、バスケットカウントワンスロー!」審判がコールする。
悪夢が、始まろうとしていた。
バスケットカウント…ファウルされた時にそのままシュートを決めると、シュートの得点+フリースロー一本が与えられる。そのこと。
シュートチェック…相手がシュートを撃つときに手を上げて、相手の邪魔をする。ただ、相手の手に触れるとファウルになる。




