Winter Cup!(1)
−−テスト期間
さすがにテスト期間は吉瀬高校も部活はやらない。
紗綾は家に帰ってから問題集を解く。
国語、古典、数学、英語……。
「めんどくさいなぁ…でも『偏差値70のエース』になるためには避けられないんだよなぁ……」
気分転換にボールを触る。あまり綺麗ではない。何年も使ったものだ。でもボールの感触は気持ち良かった。
再び問題集に取り組む。自己採点して驚く。以前より出来が良くなっていた。
(あれ、思ったよりできるじゃん。)
部活のあと、時間のないなかで集中して勉強できた結果だろう。
(なんだ、もっと前からできたじゃん。)後悔に浸る余裕はない。
紗綾はその状態でテストに望む事ができた。
数日後結果が帰って来た。前回は学年24位だったのが、今回は13位になっていた。
(よし。)と思っていると、高津雅が個表を覗きこむ。
「アンタいつの間にこんな天才になってたの?」雅は驚いた表情で訊いてくる。「なんだろ。集中できたからかな〜」ぼんやり返す。「偏差値は安定の70か……私なんか65もいったことないわよ…。」雅に頬を突っつかれる。「とりあえず部活いこー」「うん、行こう行こう!」
テスト開けの部活は以前よりさらにキツくなった。でも、チーム全員誰も手を抜こうとせずやりきった。それは、全員が『勝ちたい』という共通意識を持って取り組んでいたからだ。
そしてウインターカップ県予選前最後の練習後、ミーティングを行う。
三池コーチが切り出す。
「それでは明日のスタートを発表する。」チーム全員が「おぉ!」と盛り上げる。
「えー、ポジション順に行くぞー。高津、並木、川口、真鍋、谷田部麻衣。スタートで出る者は常に全力でプレーしろ。スタートで出ない者はベンチから声を出して盛り上げろ。そして試合に出たら一番声を出して走れ!5人で相手チームに勝つんじゃないぞ。チーム全員で勝ちに行くんだ!いいな!」
「はいっ!」全員が声を揃える。
「よし。今日はここまで。明日に備えろ!」
「お疲れ様でした!」
10月20日。ウインターカップに向けて最高の状態でこの日を終えた。




