Drive in!(5)
朝7時45分。
「よし、今日もガンバルぞっ」紗綾は背伸びしながら体育館が開くのを待つ。しばらくして三池コーチが体育館を開ける。
「おはようございます。」「おはよう。よし、いつものやつに行くか。」このやりとりから朝練は始まる。
前回の試合での反省点として、oneononeにおいて、なかなか相手ディフェンスを抜くことができなかったことがある。
三池コーチはこう指摘した。
「ドライブする時に何歩かかけて抜こうとするから相手がついて来れて、スティールがしやすいんだ。一歩で相手を抜くようにしろ。」
「はいっ!」紗綾は近くにいたチームメイトでディフェンスの上手い菅谷照に相手を頼んで実践しようとした。
(一歩で抜く……一歩で抜く……)紗綾は頭で意識してドライブしようとしたがなかなか抜けない。しまいにはスティールされてしまった。それを見て三池コーチが「オイ川口。オマエはディフェンスが怖いのか?もっと前に出ろ!」と檄を飛ばす。
紗綾はもう一度低い姿勢から前に進もうとした。しかし、照を押し倒してチャージングになってしまった。
「ゴメン、大丈夫?」紗綾はすぐに謝った。
「大丈夫大丈夫。これぐらい慣れてるから。」照は平気な顔だったので紗綾は安心した。三池コーチからは「川口、あれぐらいギリギリを突いていいぞ!練習だからいくらでも失敗しろ!」と声をかけられる。
それから毎日同じプレーを練習し続けた。何回もミスをしたが、諦めなかった。
数日後。放課後の練習のなかで、ついに照のディフェンスを破った。練習後、照は「やられた、もっと練習しなきゃ……」と一人フットワークをやっていた。
三池は(いいチームの雰囲気になってきた。一人一人が競争心を出して努力するとチーム全体のレベルが上がる。)と一人満足感に浸っていた。
続く
用語解説
スティール……ボールを奪うこと。
チャージング……オフェンス側のファウル。筆者はよくやらかします。




