プロローグ
「待って!」
黒い少女は振り返った。
「どうして人間界に行こうとするの!?」
黒い少女は答えない。
「どうして答えないの!?」
黒い少女は白い少女を見ているだけだった。
「何があなたをそこまで動かさせるの!? もうあなたが関わる事じゃないでしょ!?」
黒い少女はまた? と溜息をついた。
そしてそれだけ? という顔をして背を向けた。
白い少女は完全にキレた。
両手に銃剣(ガンソード)を持って斬りかかった。
黒い少女は両手に剣を持って背を向けたままそれを受けた。
さらに回し蹴りを叩き込んだ。
その足には剣が付いていた。
白い少女がそれを受け流し、引き金を引いた。
黒い少女は射線を自分の腕で外し、目が回るような回転を縦横無尽に行う。
片や四肢を使った四刀流。
片や遠近両方で戦える銃剣の二刀流。
二つの乱舞が夜空の下で舞い続ける。
しかしそれはすぐに終息を迎える。
黒い少女が圧倒的な攻撃速度と手数をもって白い少女を退けた。
「くっ・・・」
「はあ。その甘さでよく止める気になるわね。冗談も大概にして」
黒い少女は今度こそ人間界への扉を開いた。
「甘いのは私も変わらないか」
彼女は光の中に消えていった。