表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/11

黒な人

※注意 どんなに相手が好きでもこんなことしちゃいけません。イケボイス以外は(笑)

 危ないところだった……。

 とにかく逃げるが勝ち!とばかりに、赤嶺くんの手を振りほどきトイレに駆け込んだ。

 乙女として、トイレに駆け込むってどーなんだって思うけど、そんなこと言ってる場合じゃない!なんかもう危険地帯が多すぎる!


 お気づきかと思いますが、なぜかわたくしが対象者として狙われてますー。わぁびっくりぃ(棒読み)『鈍感』なーんていうヒロインスキル(?)持ち合わせてないから、すぐわかりますがな。

 ってかなんでだ!対象者なら、ヒロインちゃんがいるじゃないか!彼女は2年生になって編入してきたし、タイミングだってばっちりCD通りだ。な・の・に!あのイケボイスの人たちは完全スルーしてこっちに来る。んで私は耳レイプされて悶え死ぬ訳だよ!私に恨みでもあんのか!


 ならそのタイミング外せよと思ったそこのあなた!イケボイスの威力をわかってない!あの魅力にとりつかれたら、聴かずにはいられないのだよ!

 でも飽くまで私はボイスレコーダーに録りたいだけなんだ!だって録音すれば何度だって美味しい思いが出来るでしょう?本人の許可?ナニソレ。そんなこと頼んだら変態だってバレちゃうじゃないか!こっそりやるからいいんだよ。


 あぁもうどうすればいいのかなぁ。別にヒロインじゃなくてもいいから、私以外を口説いてくんないかな。大体、理由がわからん。こんな無愛想で一言も喋らないやつのどこがいいんだか。

 あまりに近すぎると、聴こえなくなっちゃうんだよね。遠くの音を拾う用のボイスレコーダー買っちゃったから。新しいのもお小遣いなくなっちゃうから買えないし。バイトでもしようかなぁ。




 トイレから出て教室に戻ると、赤嶺くんはすでにプリントを配り終えていた。ありがとう。心の中で感謝しておく。


「喜美子ってばどこ行ってたの?黒井先輩が捜してたよ?今日、急遽委員会が入ったから出るように。だって。」

「あ~そうなんだ。ありがと。」

「いえいえ~。私も部活だから、時間帯合ったら一緒に帰ろう?」

「わかった。終わったら連絡するね。」


 チャイムが鳴り、私の長ーい昼休みが終わりを告げた。

 えっ?普通に話してるって?当たり前じゃないですかぁ~。私はむしろおしゃべりな方よ?私が喋らないのは対象者の前でだけ。だから無礼なやつなのにって思うわけよ。私が喋れない訳は、……っと、金田先輩にメールしとかなきゃ。今日は部活行けませんよ~ってね。イヤだけど部長だし。




 放課後です。委員会です。最初に言っておくけど、黒井先輩も対象者です。

 黒井元先輩は、完全にジャケット通り。漆黒の髪に切れ長の目。眼鏡がとってもよくお似合いになるイケメンさんです。そしてドS。ヒロインを半泣きにさせるぐらいの。イジメるのが好きなんだって。意味わかんない。でも!声は低音ボイスで、フェロモンという名のエロボイスなのですよ!『先生(対象者)』といい勝負だね!

 風紀委員という役職通り普段は真面目なのに、ヒロインを前にすると途端にスイッチが入って、


*・*・*・*・*・*・*


 ガラッ


「ん?なんですか?あなたは確か…この間転入してきた生徒ですよね?どうかしたんですか?……あぁ、その教室なら反対側ですよ。まだ慣れてないんですね。……待ちなさい。あなた、スカートが少し短いんじゃないですか?私は風紀委員です。この短さは見過ごせないですね。ちょっとこちらへ。……座って。…うん、やっぱり短いです。これでは何をされても文句は言えないですよ?…ほら、こんな風に足を撫で回されても、スカートが短いあなたが悪い。…やめてほしい?それは出来ない相談ですね。だってこれは『お仕置き』ですから。…抵抗しなくていいんですか?もう手があなたの大事なところまで届いてしまいますよ?…クスッ。泣きそうな顔しちゃって…私を煽ってるんですか?…違うんですか。それは残念。それにしても……病みつきになりそうですね。…あなたの泣き顔はすごくソソる。(ペロッ)」


*・*・*・*・*・*・*


 キーーーヤーーーー!!

 おーかーさーれーるぅーー!!

 最後の台詞はね!耳元で囁くんですよ!しかもちょー近くからだから、CD聴いたときはマジで鼻血もんでした!さらに舐める音!これぞまさしく耳レイプにふさわしい!


 思わず興奮してしまった。しかし!そんな危ない役をなぜ私がやらねばならん!むしろ傍目から見たい聴きたい歌いたい(あ、違った)!なのに。

 風紀委員なんてぜっっったいやりたくなかったのに!じゃんけんが!この手がグーを出すからいけないんだ!

 でもとりあえず今日は大丈夫。他の人に紛れて話だけ聞いて帰ろう。呼び止められても聞こえないフリ!イケボイスを無視するのは涙ちょちょ切れちゃうけど!


 コンコン。ガラッ

「遅い。」


 いやいやいやいや!開口一番それですか!?むしろ一番早いですけど!?


「こっちに来て座ってください。」


 ??あの、委員会ですよね?他の人も後から来るんですよね!?


「おや、察しがいいですね。委員会なんて嘘ですよ。……何度言ってもわからないあなたにおしお…風紀委員的指導をして差し上げようかと思いましてね。」


 ノぉぉぉー!ウソヨクナイヨ!ワタシカエルネ!ってか『お仕置き』言おうとしたね!ごまかせてないね!

 よし!逃げ、


「逃げられると思いますか?」


 られませんよね!笑顔でめっちゃ肩押さえつけてますもんね!痛いのでやめてほしい限りなんですけどね!


「……私言いましたよね?不容易に他の男と喋らないようにと。まだわからないんですか?この頭はそれほど物覚えが悪いんですか?この耳は…飾りですか?」


 ふぇっ!かかかかじられた!ビクッとしちゃった!私の最大の弱点が知られてしまう!


「おや、喜美子は耳が弱かったんですね。こんなに一緒にいたのに気づきませんでしたよ。…じゃあ、(ココ)を重点的に攻めるしかありませんね。」


 誤解を招く発言はお控えなすって!そんなに一緒にいませんよ!?ってか弱点攻めるって、ドSですか!?ドSですね!知ってました!!


「……ん、ちゅ。(ペロッ)」


 ダメダメダメ!やめて!息かけないで!ハムハムしないで!舐めないで!手を!手を退かしなさい!身体のラインをなぞるんじゃない!やぁ……っ!


「…………っ!!」

「……クスッ。もしかして、感じているんですか?駄目ですよ。飽くまでこれは『指導』なんですから。他の男と話した罰です。ちゃーんと、あなたの身体に分からせてあげないとね。」


 あっぶねー!声が漏れるとこだった!一言でも発したら何言うかわからない!

 しかも全くの濡れ衣ですからね!?私は彼らと話してませんから!ちょ、誰か助けてぇぇーー!

黒の人終わり。

次で最後。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ