赤な人
書いてるうちに、一話が大体2000~2500文字ぐらいだと気付く。み、短い……!!
た、助かった…。
金田先輩に甘ーい声で耳レイプをされてる時に、運良く保健の先生が戻ってきてくれた。
先生はさっさと先輩を放り出してくれて、私の具合も聞いてくれた。まぁ元々体調が悪い訳じゃなかったから、突っ込まれる前にトンズラしたけど。
はぁ。こんなんじゃ私の心臓がもたない。いや!耳が幸せすぎてもたない!!乙女CDはヘッドホン越しに聴くからいいんであって、あれにあのイケ顔をプラスされると途端に、萌えるより燃える。主に顔が。(ヤバイめっちゃいいこと言った。)
なんとかして金田先輩の意識を私ではなくヒロインに向けさせないと。
一人脳内で作戦会議を開いていると、なんとヒロインが別の対象者と接触してるではないか!!
しかもあれはクラスメイトのツンデレ男子!CDだと、
*・*・*・*・*・*・*
(てくてくてく)
「おっと!あぶねーな。ぶつかるとこだったぞ。…何見てんだよ。あ、まさか俺に手伝えってか?確かに俺もお前と同じ係りだけどよー、お前ならそんなの軽々だろ?お前がひ弱そーなボンキュッボンな色気のある女子だったら手伝ってやってたかもな~。……ちょ、待てよ!なんだよ、怒ったのか?ったく、しゃーねーな。…ほら。……ちゃんと半分持ってやってるだろ?…あ?俺の方が多いって当たり前だろ。か、勘違いするなよ!?一緒に持ってるのにお前が多かったら俺がヒドイ男みてーじゃねーか!……ちっ。何笑ってんだ。さっきまでぷりぷり怒ってたくせに……。可愛いじゃねーか。はっ!?何も言ってねーよ!こっち見んな!」
(てくてくてく×2)
「……手伝ってほしいんならちゃんと言えよ。お前のためじゃないぞ!大事な教材がお前のドジで壊れたら困るだろ!…そんなにドジじゃないって、自覚ないのか?…はぁー。だからお前から目が離せないよな。ほら、…なにキョトンとしてんだ。手!……お前が転けないように掴んでてやるよ。」
*・*・*・*・*・*・*
ツンですねぇ。最初はあまりデレがないけど、徐々に出てくる過程がもう……萌える!
しかもやっぱり押せ押せなので、ツンの中でもスキンシップが激しいんだよねぇ。ぐふふ。
さあ!早く私に耳福を!差し出すといいわ!
……あるぇ?なんか、『じゃーな。』って台詞が聴こえた気が……。なんでこっちに来るの?用があるのは向こうのヒロインちゃんでしょ?
「何ガンつけてんだよ。キミコのくせに。あ、まさか俺に手伝えってか?ぜってーイヤだかんな!」
ガンつけてないし(多分)、手伝ってほしいとも思ってないわ!ってか、途中で会った先生にプリント持ってくように言われただけで、ヒロインちゃんばりの荷物ではないわ!向こう手伝えや!
さっきまでの金田先輩との攻防で疲れた私は、ツンデレ男子である赤嶺健太の横を通りすぎた。このままじゃ乙女CDは望めまい。現実って酷しいんだな。
「あ、なんだよ!怒ったのか!?頼まれれば手伝ってやらなくもないんだぞ!だから、その、……怒んなよ。」
クッ……私が声フェチと見越しての弱々ボイスかっ!卑怯だぞ!
赤嶺くんも、金田先輩に負けず劣らずのイケメンだ。髪はCDの中じゃ赤かったけど、現実じゃ黒髪に赤のメッシュを入れてる、ちょい不良メンズだ。顔立ちもどっちかといえばワイルドな方。そして!声は少年っぽい、まだ成長段階なんですっていう抜けきらない声!またこれが、思わずグリグリしたくなるような感じな訳ですよ!このぉ~ってね。
怒ってるんじゃないんだけど、ちょっと困り顔で見てくる赤嶺くんに意地悪をしたくなって、スタスタ先に歩くことにした。
あのタイプって、ツンツンしてる割りにはヒロインが本気で怒ると途端に弱くなっちゃうから、なんかいじめたくなっちゃうんだよね。CDでも何回『そこでプイしろ!』って思ったことか。
「待てってば!…ん!なんだよ。全部持ってやってんだから、文句ないだろ!…ったく、お前って意外と強情だよなー。……ま、そこも可愛いけど。あ、何も言ってないからな!」
プリントを全部持ってかれちゃった。!!この隙にボイスレコーダーをセット…って!家に忘れてきた!!あ゛~なんたる失敗!私としたことが!このイケボイスを帰った後も堪能出来ないなんて。絶望しかないよ……。
私の落ち込みなんて(もちろん)露知らずの赤嶺くんはそのイケボイスを垂れ流しにする。
「手伝ってほしかったらちゃんと言えよ!か、勘違いすんな!大事なプリントがお前のせいで汚れたらたまったもんじゃないからな!…ほら!手、繋げよ!キミコは見てて危なっかしいんだよ。……さっきだって、他の男におおおおお姫様抱っこなんてされやがって!なんかあったら俺に言えって言ってるだろ!?さっきのヤローとは何もなかっただろうな?」
あんたは私の彼氏か!!しかもめっちゃ恥ずかしい場面見られてるじゃないか!抹消しろ抹消!!
(フリフリ)
「……ならいいけど。油断も隙もあったもんじゃねーぜ。今度あんなとこ見たら、俺、許さないからな?」
……あれ?赤嶺くん、ツンデレだよね?ツンがなんかあんまり見えないぞ??しかもさっきの先輩と似たような目しちゃってぇ……。そんなことより録音させろぉぉぉ!!
赤の人終わり。
次は別の人。