生徒会長の謎その④
「じゃがいもはテキトーに切って、あとにんじんもテキトーに切って、それとたまねぎもテキトーに切って、あとお肉もテキトーにいれて、調味料はテキトー、んでテキトーに火を点ける、OK?」
「全部テキトーじゃねぇか!」
「料理なんてそんなものよ、だいたいマニュアル道理じゃつまらないじゃない」
そういうと適当に野菜を切っていく久美。一見雑そうに見える切り方も、切られた野菜は食べやすそうなサイズにカットされている。それと同様にお肉も切り分けてみせる、なんといっても手際がいい全部で3分もかかってないのではないのか。
「んなかんじ」
「お、おお」
そしてその野菜を鍋に叩き込むと、分量を計らずに調味料を流し込んでいく。
「おいおい大丈夫かよ、んな適当で」
「知らない」
肉じゃがという料理をチョイスしてしまった自分を少し恨んだ。
「あとはテキトーに煮込んどきゃ完成、はいやっといて」
「無責任な……」
「30分くらいね、焦がしたら殺す、あと米も炊いといて」
というとどこか久美は消えてしまった
「は~、だるい」
おいしいという保証も無い料理のために30分をかけることに……。
時間を計っておいたため指示道理に任務を遂行できた。
「ったく、ここまでさせたんだ、美味いんだろうな」
ちょっとつまみ食い。
「これは……」
じゃがいもの奥まで味がしみこんでいる、だしも程よい風味をかもし出している。
「美味い……」
「こらっ、つまみ食いしてんじゃないわよ」
久美に後ろから叩かれる。
「お前どこ行ってたんだよ」
「家まで戻って風呂入ってきたの、悪い?」
俺と久美の家は直線距離にして20メートル、往復に30秒かかるかどうかだ。薄着で、肌は少し赤くなっている、今にも湯気が上がりそうだ、なんていうか色っぽい。
「なんだ、ちゃんとできてるじゃない」
じゃがいものかけらを味わいながら久美がつぶやく。
「そりゃ、俺が30分を費やしたからな」
「何言ってんのよ、ほとんどアタシがやったようなもんじゃない。私が天才だって認めたらどうなの?」
確かに味付け、具の大きさ、全てにおいて完璧だ。
「ああ、確かに凄いよ」
認めざるをえない、第一久美に頭が上がるはずが無い。
「ご飯は炊いたの?」
「まあ言われたとおりに」
何粒かの塊をとってもぐもぐとかんでいる。
「あら、意外と炊くの上手いのね」
「そんなの誰がやっても一緒だろ?」
「それがクッキング部でまともにご飯も炊けない奴がいるのよ、それにしっかり磨が無かったりする奴も結構多いから」
しゃもじで十字をきり米に空気を入れる久美。
「さ、分けて食事にしましょう?」
「あ~ぁ、食った食った」
爪楊枝を加えながらオヤジみたいな台詞を言う久美。
「ごちそうさん、それとお休み」
いろいろあったがようやく睡眠を確保できる。
「あんた、どんだけ眠いのよ」
呆れ顔で久美がつぶやく。
「絶賛成長期中なんだよ、悪いか」
足の先から頭のてっぺんまで視線を流す久美。
「ったく少し昔は私のほうが背が高かったのに」
「6年くらい前の話を持ち出されてもな」
「何言ってんのよ、小6までは私のほうが大きかったわ」
はっきり言ってそんなのどうでもいい。
「あの頃は一緒に買い物行ったら、みんな私の事お姉さんだって言ってたわ」
「じゃあ今はお前が妹だな」
「今は……………………って言われた」
ゴニョゴニョ言ってるか何を言っているかさっぱりだ。
「今なんて?」
「だからカップルみたいって言われた」
赤くなりプルプルと震えている久美、ってかそんなに屈辱的なことなのかちょっと悲しくなってきた。
「そうかい、お休み」
部屋まで行く気力も無く、リビングのソファーに転がる。
「ホント鈍感」
薄れ行く意識の中で何かが聞えたがまったく意味が分からない。
まだ俺が保育園に通っていた頃、久美の家が近いことは知っていたが遊ぶことも無ければ話すことも無かった。
俺の親は保育園では最後から一番か二番に迎えが来ていたし、久美の親も同様にだ。
どっちが先かそんなことは覚えていないが気が付けば話をしていたし、親が来るまで遊んでいた。それを見た親たちは自然ともう一方の親が来るまで家で預かることになった。そんなこんなで久美とは十年以上の付き合いだ。後々聞いた話久美の母親は久美を産んだ時に他界したらしい。あのころの俺はそんなこと、知ることもなかった。
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