夏祭り
「やあ」
「またかよ……」
日曜の朝目を覚ますと目の前には生徒会長こと田所小雪がいた。
「今日は夏祭りがあるんだが知っているかい?」
「ああいうごみごみしたとこは嫌いだ、悪いな」
くるっと回り部屋へと入ろうとするとすそを掴まれる。
「ちょっと待て、まあなんだ最近は物騒だしな、生徒会として巡回する必要があると思うんだ」
あくまで食い下がる小雪。
「そんなの警察にでも任せろよ、俺は寝る」
「まて、そのだな……一緒に行かないか?」
弱々しく出た小雪の本音にしぶしぶ答える。
「まったく、始めからそう言えよ」
「そ、そうか。では今日の6時にまた来る楽しみにしていろ!」
「はいはい、お休み」
「さあ、出発だ」
小雪は着物を身に纏っていた。和服というものは日本人のために作られて服ってだけはあると思う。体系的には……な小雪もどこか独特の色気に近いものを兼ね備えていた。
「お、おう」
夏祭りの会場は近くの運動公園で行われる。俺の家からは2キロと離れてはいなかったため30分もしないでついた。
「さてと、何から見て回る?」
「そうだな、まずは何か食べるか?」
ちょうど腹の虫が鳴いていた。
「そうだな、ではあれを食べたい」
指を差す先には大判焼きがあった。
「そうだな、いいかもしれない」
二つ頼むと小雪に一つ手渡す。
「うまいな」
「ああ、おいしいよ」
自然と表情が緩む。
「まあ俺の財布の中身が許す限りなら適当におごるよ」
「あ、ああすまない」
「ま、遠慮すんな」
「じゃあ次はあれが食べたい」
りんご飴を指差す小雪。
「そうか、じゃあ買ってくる」
人気が高いようで結構並んでいる。5分ほどで俺の番が回ってきた。
「ひとつください」
「あいよ、400円ね」
りんご飴を受け取り小雪のもとへと戻ると、よく分からない男と話しをしていた。男はこんな祭りの中にしては珍しくスーツを着込み、髪もしっかりと固められている。顔立ちもよくどこかいけ好かない。
「まだ時間はあるはずだ、少なくとも来年の3月までは」
「そうも言ってはいられないのでは、お父様の体調も最近はすぐれないと聞いております」
「だが……」
「おっと俺の連れだ、悪いな」
「ん、誰だ貴様は?」
会話を遮ると男はこちらにがんを飛ばしてくる。こちらも睨み返す。
「自分の名を先に言うのが筋なんじゃねえの?」
「おっと私としたことが、和道流です」
「……鑢鏡だ」
和道と再び視線を交わす。和道は小雪に視線を戻す。
「では、私はこれで」
「何だあの男は」
「……」
小雪は黙って言葉を返さない。聞かれたくはないことなのだろう。
「これ、ほしいって言ってたろ?」
「あ、ありがとう」
りんご飴を受け取り小雪がつぶやく。
「まあ、なんだいやなことは忘れて今を楽しもうぜ」
「そうだな」
そこからの時間はあっという間に過ぎた。そして祭りも終盤に差し掛かり花火か打ち上げられて行った。
「すげーな」
「ああ、いい思い出になるよ」
そんな言葉が先日の如月先輩の言葉と重なる。
「……これからもたくさん作っていけるさ」
俺たちの日々は花火のように輝いて、そして散り消えていく。そのとき俺はその輝きしか考えられなかった。
ごめんなさい
次一気に飛びます
間の話は受験が終わったあとリメイクとして書いていきますので
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