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海! その⑤

 時間がたつにつれ人が一人一人と増えていき、開演30分前には全員がそろっていた。


『まもなく開演時間です、本日は思う存分楽しんでいってください』


 あたりの照明が消えステージの幕がゆっくり開く、そこには一点唱がスッポトライトによって映し出されている。観客のボルテージは高まり歓声に包まれる。一曲目はアップテンポの曲で立て続けにもう一曲を歌い上げる。どこかで聴いたことのある曲だったのはおそらく、生活しているうちにどこかしらで耳にしたのだろう。


『今日は来てくれてありがとう、今までたくさんの人に支えられてここまでこれた。だからこそ今日このステージを最高のステージにするから、皆もよろしく』


 自信家の唱とは思えないほどの謙虚な言葉、それが嘘ではないと思わせるまっすぐな瞳。唱は心からその言葉を言っていた。その後も何曲か歌うたびにトークを繰り広げ観衆を盛り上げた。そしてステージも終盤に近づき観客のボルテージは最高潮に包まれる。


『早いようで次が最後の曲、では聞いてください』


 最後のバラード調の曲は俺の涙腺を緩めた、あと少しで涙を流しそうだった。隣を見れば数名はすでに涙を流していた。


「ああ……やっぱり天才だったよ」


 その後のアンコールまで聞き会場を後にし旅館へと戻った。音色や姉さんは話があるらしく唱の楽屋へと行っていた。




「いやー、いいステージだった」


 そんな感想を漏らしたのは腱だった。


「まあ、……よかったな」


「確かによかった」


 それぞれがポツリとつぶやく。


「まあ時間も時間だし浴場にでも行くか」


「そうだな」


「賛成」


 男だけの殺伐とした雰囲気もたまにはいい気がする。その後3人で浴場へと向かう。


「しかし今日は楽しかったな」


「そう……だな」


 まあいろいろあったが楽しい一日だった。


「俺にとっては最後の夏だけど、最高の思い出になったよ」


 そんなことをしみじみと如月先輩がつぶやく。


「まあ卒業してからもたまには誘ってくれよな」


 そんな雰囲気を打ち消すように如月先輩がつぶやく。


「もちろん」


「まあ、気が向いたら」


 卒業という言葉が俺を現実へと引きずり戻した。今年が終われば如月先輩も小雪も卒業してしまう、そんななんともいえない寂しさが俺の心を締め付けた。


「また来年」


 そんな変わらない日常へと希望を込め俺はつぶやいた。


すこし短くなったしまいましたね。

これで海編も終了

夏祭りの話をすこしかんだらすこし飛んで一気に完結にもって行きます


よろしかったらご感想ください^^

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