海! その④
「ねぇ、どこの子?」
「どこの子も何も生徒会長だ」
俺につかまる小雪を見て久美が疑問を言葉にする。行動が幼稚化したのに加え、体系も幼稚……ぷぷっ、しているのでそういわれても仕方ないだろう。
「まあ何だ、いろいろあって今はこうなってる」
いまだに挙動不審な小雪は視線があちこちに移動する。
「それで、飯何だがどうする?」
そんな問いをぶつける腱、まあ考えてはいなかったが。
「そりゃ海といえば……」
海の家的なところで野菜がやけの多い焼きそばとか食べるもんだろ普通。
「バーベキューの用意ができてますよ、皆さん」
言葉を打ち切り、田中さんがどこからともなく現れる。
「えっと……」
音色が少し困惑した表情を浮かべる。一体どうしたのやら。
「ああ、唱さんが用意しとくようにとのことで」
「意外とやさしいとこあんだな」
「ああ、お二人の分も頼むといわれましたが、もともと多めにあるので多少人数が増えても大丈夫ですよ」
そういって姉さんと久美のほうを見る田中さん。
「ひとつ聞きたいんだが、多少というのは力士3人分くらいって解釈でいいのか?」
「力士? ……いやそこまではないですが、女性二人程度なら」
「まず認識が間違ってる、一人は女子と見てもいいけどもう一人は……」
本能がそれ以上しゃべったら死ぬと分かっていた、振り返ると笑顔がまぶしいお姉さまの姿が。
「そうですね、少し量が足りないですね」
「あ、いや……一狩行こうぜ!」
そう言って海に飛び込む、手にはそこらに落ちていた細長い木。文字通り一狩行くつもりだ、でなければ一狩される。
「戻ってきたぜ」
さまざまな海洋生物との戦いを潜り抜け、俺は戻ってきた。そして待っていたのは非常な現実。
「時間切れか……」
肉も野菜もなくなり、もはやその場に残る人はいなかった。まあ自分の分は自分で取ってきたからいいが。
「焼くかな……」
あいにく焼くための道具はまだかたされてはいなかった。早速焼くとしよう。
「いいにおいだ」
塩の香ばしいにおいと海鮮類独特の臭みは疲れきった体の食欲をかきたてる。
「あら、ちゃんの取ってきたのですね、偉いですよ」
「ね、姉さん……」
「まだ腹五文目ってとこだったので、おかげで助かりました」
「えっと……」
「助かりました」
「姉さん?」
「助かりました」
「分かったよ、別に一日くらい食わなくたって生きて行けらぁ」
さらば我が海鮮類たち。
「さて、こうなったらやけに野菜の多い焼きそばか……」
「鏡君!」
そこには音色がいた。後ろに何かを持っていた。
「ねぇ、もうご飯食べたの?」
「いいや」
「そっか、じゃあこれ」
後ろに持っていたそれを手渡される。
「えっと、これって……手作り弁当?」
「そんなたいそうなものじゃないけどさ、よかったら食べて」
あたりを見渡す、どうやら姉さんはいない。
「まあここじゃ何だ、別のとこで食うよ」
ちょうど日陰になっていつところを見つける、そこに座り包みを開ける。ごくごく普通の弁当だ、だが冷凍食品ではなくすべてが素材から作られているように見える。
「そういうのあまりなれてなくて……ごめん、口に合わなかったら」
「いやぜんぜん問題ない、いただきます」
手を合わせ口にほうばる。可愛らしくたこの形になっているウィンナー、少し焦げてる甘い卵焼き、レタスで仕切られているからあげ、いかにも手作りというような感じだ。
「どう?」
「うまい、なんつうかやさしい味がする」
「やさしい味?」
「うまく言えないけどさ、音色らしい味」
その言葉に首をかしげる音色。久美の作る料理はどこか作りなれているような完成された味に対し、音色の作るこれは一生懸命に失敗しながら作った味だった。
「ごちそうさま」
「どういたしまして」
空になった弁当箱を音色に手渡す。
「なんか、うれしいな」
「なにが?」
「こうやって全部食べてくれて、……鏡君のために作ったから」
ふいにもその言葉にドキッとしてしまった。
「あれ? もしかして私のこと好きになった?」
「ばーか、違うよ」
視線をそらしてしまう。
「ところでスイカがあるんだけど食べる?」
スイカ? 目の前にはメロンが二つ……って俺はどこぞのエロ親父か!
「スイカかいいな」
「じゃあスイカ割りしよう」
「いいじゃん普通に切れば」
「ダメ、スイカ割じゃなきゃ」
一体音色は何にこだわっているんだろうか?
「まあいいけどさ」
するとどこかからスイカを取り出す音色。準備がいいこと。
「じゃあ目隠し」
「俺がやるの?」
しぶしぶ目隠しをして音色の指示を待つ。
「じゃあ、はい」
何かを手渡される。棒にしては先のひだひだが気になる。
「ちょっと待て、これってさ」
目隠しを取ると俺が持っていたのは鞭だった。
「はは……さよなライオン」
すると走ってどこかに行ってしまう音色。まったくこれがなければ……。
「他の奴らは何やってんのかな」
気にはなったがそろそろ時間だ。唱のイベントとやらを見に行くことになる。若干時間は早かったがいいころあいだろう。
「あら、早いのね」
タオルを首にかけながら唱がやってくる。
「疲れたんでね、少し早めに切り上げた」
「そう、まあせいぜい私の歌を聴いて涙でも流してなさい」
「相当の自身だな」
「当たり前よ、私は天才なの」
「まあ期待せずに待ってるよ」
そんな言葉に対し舌を出し唱は去ってしまう。
「……席に案内しますね」
どこからともなく現れた田中さんに促され席へと向かう。ステージから少し離れた所に位置し、そこに人数分のいすが用意されている。
「なんか本格的だな」
「まあ人気もかなりありますからね……、テレビとかで見ません?」
「いいや、あんまり見ないからな。っていうかテレビに出るレベルなの?」
「まあ出ない日はないでしょうね……」
思っていたよりかなりの有名人らしい、世間って狭いね。
「じゃあゆっくり待つとするかな……」
遅れてすいません、
テストだとか日常生活で多忙なもので……
受験生って大変ですね
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