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彼女の眼鏡に恋をした  作者: 奈良都翼
鑢鏡の挑戦
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思いが夢に変わるとき

「鑢先生は今日で教育実習を終えます、なので今日は彼女にHRをしてもらいますね」


 教壇を降りる後藤先生に一礼をし教壇に上がる。教室全体を見渡すと始めに見たときと同様にその(・・)席には誰も座っていなかった


「…………」


 言葉が出なかったと言うべきだろうか、ただ教壇に黙って立つ私を生徒が不思議そうに見上げる。


「すいません、少し時間をください」


 そういって教壇から降りる。その行動に生徒はざわめく、無理もないだろう。


「ちょっと、鑢先生!」


「すぐ戻ります」




「情けないな……俺」


 自分の足を抱きながら、一人沈み込んでいた。彼女に対して『優勝する』と言った言葉は嘘になってしまった。


「やっぱりここに居たのね」


 まるで風が吹くようにそんな言葉が流れてきた。俺はその声の主を知っていた。


「千鶴先生!」


「初めて話をしたのもここだったわね」


 そういいながら自分の隣に座り込む、彼女に伝えようと思ってた言葉もまとまらずに、結局俺は逃げ出してここにいる。


「俺……」


「ありがとう」


 急いで取り繕ろうとした言葉を遮り、そんな言葉を彼女は俺に与えてくれた。


「球技大会のとき私のためにがんばってくれたんでしょ?」


 そして感情がこみ上げてきていつのまにか涙が頬を伝っていた。何度も何度もそんなしずくが流れ落ち、いつからか俺は笑っていた。


「先生、俺さ教師って嫌いだった、自分の価値観ばかり押し付けて一度だって俺のことを考えてくれたことはなかったよ」


「…………」


「でも先生は違った、こんな俺のこと理解しようとしてくれたよ」


 こみ上げてくる感情がすぐそこまで出かけていた。


「俺、先生が……」


 そこまで言いかけて自分を抑えた。


「俺先生みたいな先生になりたい、こんな俺だけど先生のおかげでようやく夢を持てた」


「ふふ、私まだ先生じゃないのよ」


「でも先生ならきっと、いい先生になれるよ」


「ありがと、さあ教室に戻りましょ?」


 そういって立ち上がり歩き出す彼女を目で追いながら、どこか遠くに行ってしまう気がした。そんな予想はおそらく気のせいではない。


「先生! 俺の夢が叶ったら聞いてもらいたいことがあります」


 歩き出した彼女に俺はその言葉をかけるのがせいぜいだった。


「あら、じゃあ楽しみにしてるわね」


 そういって彼女は微笑んだ、そしてその日俺は彼女の背中を追いかけることを決めた。


私の夢は教員です

それを明確に決めたのには一人の教育実習の先生が関わっています

私は結局その言葉を伝えることはできませんでしたが

この場を借りて言います

『先生ありがとう、大好きです』

この言葉が届くことはおそらくないでしょう


この話は自身の体験をモデルにしたものです

腱君ならいつか伝えられるのではないでしょうか?


おっとこのままじゃ、あとがきのほうが長くなってしまいますね

よろしかったらご感想ください^^

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