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彼女の眼鏡に恋をした  作者: 奈良都翼
鑢鏡の挑戦
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鑢鏡の挑戦その⑩

 試合は結局俺たちの勝利に終わった。それによって全競技の優勝を一クラスが奪い去ったことになる。それは開校以来男子では(・・・・)初の出来事らしい。


「んで女子が全競技優勝したときのクラスに姉さんがいたらしい」


「なるほど、兄弟そろって化け物らしいな」


「俺なんてまだましなほうさ、姉さんは全競技に参加し全競技を優勝に導いた、それを3年連続で」


「だとしても、どっちも化け物には変わりないよ」


『HR始めるぞ』




「ところでこれからどうする?」


「そうだな……」


「ならカラオケでも行くか」


 と山本が提案する。


「またそれかよ、まあいいけど鏡はどうする?」


「俺は……ちょっと用事がある」


「ん? そうか、じゃあな」


「また明日」

 

 二人はそう言うと荷物をまとめ帰路へとついた。


「さてと……どうするかなこれ」


 下駄箱に入ってたのは一通の封筒、まあ鈍感な俺だがこれくらいわかる……いわゆるラブレターって奴だ。中には『放課後体育館裏に来てください』と書いてある。


「とりあえず行ってみるか」


 断るにしろ自分の口から伝えたい、そういう決意的なものがないわけじゃなかった。




「ここ……だよな?」


「鏡先輩!」


 後ろからの呼びかけに振り返るとそこにはかわいらしい女の子がいた、口ぶりからするに下級生だろうか? 髪はストレートで前髪は眉より若干低い位置で切りそろえられている。顔立ちはよく、雰囲気としてはおしとやかな感じだ。眼鏡は……かけている! しかもそこそこ似合っている。感覚的にはクラスの委員長タイプだろうか?


「突然呼び出してすいません」


「あ、えっと」


「私のこと覚えてます?」


「覚えてる? ……えっと」


 どうやら俺の知り合いのようだが、はて? こんなかわいらしい子いただろうか?


「すまない、思い出せない」


「まあ無理もないですね、昔の私はあれだったんで」


 そう言うとかばんから何かを取り出す少女、そこから取り出された写真を見てすべては繋がった。


「まさか里奈ちゃん! 大ききくなったね、いや小さくか……」


「思い出してくれました? お久しぶりです、鏡先輩」


 巴 里奈(ともえ りな)、中学のころわけあって関わりを持った数少ない下級生の一人で結構仲良くしていた。まあ昔は昔の姉さんにそっくりで……とどのつまり太ってた、眼鏡もそのころからかけていたし、付き合いがあったのも今に思えばそのせいかもしれない。


「そうか里奈ちゃんか、変わったね、ずいぶんかわいらしくなって」


 当時はまるで妹ができた気分だった、そして今は妹が成長したようななんとも言えない気分だ。


「それでですね……先輩」


 俺はこの瞬間に対する心の準備はしてきたッ! だがやはり複雑な気分になるぜ! 汗がふき出すッ!


「…………」


 今の彼女ならきっと俺なんかより何倍もいい男と出会えるだろう、だからこそ俺はその答えはすでに胸のうちに秘めていた。しかしここで告白もする前に言われようものなら、自身傷つくだろうだからこそあえて何も言わないことにしよう。


「私実は……」


 自身分かっていてもこの時間が何時間もの時に思えた。そしてそのあとに待つ残酷なときまでの時間を考えるとますます気分が重いものへと変わっていく。


「腐女子なんです!」


 …………。


「…………」


 …………。


「先輩?」


「はっ、すまないちょっと幻聴が聞こえて、もう一度いいかな?」


「そんな何度も恥ずかしいです、でも……」


 このかわいらしい態度から察するにさっきのは幻聴だったのだろう。いやまったく最近ストレスが多かったからな。


「私……腐女子なんです!」


 …………。


「…………」


 …………。


「先輩! 聞いてますか? 私真剣なんです」


「あ、えっと……」


 たとえるなら10秒ほど時を吹き飛ばす能力を2回使われた気分だ、いつの間にか彼女は新手のスタンド使いになったようだ。


「そうか、立派になったね」


「何か別のこと考えてません?」


 むしろ考えるのを止めたい、何ですか? 私の可愛い妹は腐女子になったと? 現実って怖いね。


「それでですね、先輩はどっちなんですか?」


「どっちって……何の話だ?」


「そんなの分かってるくせに、私的には先輩は攻めと言うよりはうみゅッ!」


「それ以上言わないことだ、命が大事なら」


 とっさに里奈の口を押さえる、ふう危ないところだった。


「ふゃふゃふぃふぇふふぁふぁふぃふぉ」


「かまわないが、もうその話はするないいな?」


「ふぇ~、ふぁんふぇふぇふふぁ」


「なんでででもだ、ッたく」


「ぷはっ、確かに言い方が直接的過ぎましたね、もうちょっとやわらかく言うと……」


「いわんでよろしい、ああもうとんだ茶番だ」


「最後にひとついいですか?」


 まじめな目で問いかける里奈に思わず息を呑む。


「……なんだ」


「私のこと……嫌いになりましたか?」


 きっと変わった自分を俺に見せるのが不安だったのだろう、それで3ヶ月過ぎ今日ようやく踏ん切りがついたってとこだろうか? だとしたら俺が彼女にかけてやる言葉は一つだ。


「だとしたら最初からお前とは関わりはなかっただろうよ」


 するととたんに表情が明るくなる、里奈。


「だったらどこか寄ってきましょう、先輩のおごりで」


「どういう前提だよ」


 とまあ久しぶりに妹と過ごした有意義な午後だった、……結局俺のおごりだったけどな。

個人的に出したかったキャラクターを出せて満足です

モデルは……言わないでおきます

次回はそろそろ教育実習も終わりますね

よろしかったらご感想ください^^

ってことで奈良都翼でした

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