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彼女の眼鏡に恋をした  作者: 奈良都翼
鑢鏡の挑戦
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鑢鏡の挑戦その⑦

「おりゃッ!」


 始めは入らなかったボールも次第に入るようになり試合開始時には3回に2回は入るようになった。


「さっきの調子なら大丈夫だ」


「ああ、ありがとう」


 試合はダブルスで勝ち抜き戦で4勝すれば優勝だ、始めの相手はいかにも文科系といったような相手だ。


「「よろしくお願いします」」


 俺のサーブで試合が始まる。サーブはきれいに相手のコートに入り相手は打ち返すこともできなかった。


「もう一回」


 今度はうまくいかずコートに触れないまま外へ出てしまう。そして相手へとサーブが移る。


「落ち着け、余裕だ」


 そういって博は俺の肩をたたく。


「大丈夫だ、十分落ち着いてる」


 相手のボールが飛んでくる、博との練習のときよりも遅いくらいの球は簡単に打ち返せた。それはコートの中に入りこちらの点になる。


「その調子だ」


 それを気に調子を取り戻しこちらの圧勝で試合に決着をつけることができた。後3勝そう考えると十分余裕ができた。


「いったんバレーを見て来よう、山本が心配だ」


「そうだな」


 次の試合の時間までかなりある、十分向こうに加勢する余裕がある。




「くッ」


 うまくレシーブすることなんてできないからこそ全身でボールとぶつかっていた、その戦いの後は青あざとなって全身にちりばめられた。相手はバレー部のエースとして知られている、まるで楽しむように山本が止められる程度の球を打ち出してくる。


「お前も他の連中みたいに諦めたら楽になれるぜ」


「俺は……諦めない、絶対にだ」


 そんなことを続けているうちに仲間はほとんど諦めてしまった。そんな中山本だけがひたすらボールと戦い続けている。


「まったく、ならもっと痛めつける必要がありそうだな」


 再びサーブが放たれる。それはピンポイントで山本のところへ飛んでいき、まるで返させるよなボールだった。山本はそれを返し再び身構える。


「ほらよッ!」


 そのゆるく舞い上がったボールに対してスパイクを決める。それもまた山本の所へと飛んでいく。


「ぐうぅッ」


 ボールは太ももにぶつかり明後日の方向へと飛んでいく。足には大きなあざが作られる。その痛みをこらえ山本は再び立ち上がった。


「しぶとい奴だ」


「まだだ、まだ終われない」


 点差は大きく開き、後数本決められればこちらの負けが確定する。


「来いッ!」


「だったら望みどおり、再起不能にしてやるよ」


 ボールが再び舞い上がる、そしてそれが弾かれまた山本のところへ飛んでくる。


「ッ!」


 ボルを返すと先ほどと同様に相手がスパイクを打とうとしている。しかし山本は身構えるわけでも逃げるわけでもなく前に進んだ、そしてその場で跳んだ。


「だあぁぁぁぁあッ!」


 そして放たれたボールはやはりさっき山本がいたところへと向かって打たれていた。そしてその二点をさえぎるように山本が割ってはいる。ボールは山本のおでこのにぶつかりその勢いで相手の陣地に帰っていく。ボールは相手のコートの中にギリギリのところで入り一点を取り返すことに成功する。


「はは……一矢報いたぜ」


 よろよろとふらつきながら崩れた体勢を戻し立ち上がる山本。しかしさっきのボールとの衝突で脳が揺さぶられその場に崩れ落ちようとした。


「まったく、お前は期待を裏切らないよ」


「……たく、遅いぞ……鏡」


 その体は友によってしっかりと支えられた。


「少し休んでろ、後は俺にませろ」


「言われなくたって任せるさ」


 山本はそのまま鏡に抱えられそのまま選手交代となった。


「さて、たっぷりとお礼しなくちゃな」


「ドッヂボール見てたぜ、確かにすごかったがバレーまでうまくいくと思ってもらわないでほしいな」


「少し黙ってろ」


 ボールを2回バウンドさせ弾力を見る。そしてそれを高く上げ勢い良く弾く。鋭い弾道だったが返せない球ではなかった、いや返せる程度の球だった。それに対してゆるく舞い上がったボールを鏡はすでにスパイクする体勢だった。


「まさかッ!」


 スパイクは真っ直ぐに相手の顔面へぶつかる。そして帰ってくるボールはネットに阻まれゆっくりとコートへ転がる。


「そう……さっきの再現さ、とはいっても点を入れさせる気はないがな」


 その言葉に相手は恐怖を感じずに入られなかった。先ほどまでの自分と立場と相手の立場が入れ替わっていることに。


「す、すまない俺が悪かった許して……」


「何を言ってるのかさっぱりだ、お前は普通(・・)にプレーしてたし、俺も同じように普通(・・)にプーレーしてる。そうだろ?」


 まるで獲物を狩る虎のような目でにらまれ、相手は足がすくみ立つことすらかなわなかった。


「さあ、続けるとしよう」


 ボールは二回コートを叩いた、それが始まりのの合図だった。ボールは再び高く舞い上がる。




「お疲れ」


 お茶と弁当を片手に博がやってくる。


「山本は?」


「軽い打撲程度で済んでるから午後にはまた参加できる」


「そっか」


 あの後戦意を喪失した相手に勝つことはいともたやすかった、その後もそれより手ごたえのない相手を討ち取り無事優勝までこぎつけた。卓球のほうは勝ち進むにつれギリギリ戦いになり、決勝ではデュースを無理やり押し切り勝ちに繋げた。


「まさか、ここまでできるなんて始めは思ってなかったよ」


「そうか? 大概お前一人でこなしてる気がするが」


「そうじゃないさ、お前たちがいたおかげだ」


 照れくさそうに、博は頭をかく。


「まあなんだ、まだ終わってない最後まで油断せずに行こう」


 眼鏡とその台詞が、なかなかかみ合っていたことを口にすることはなかった。

あと一競技で球技大会ともおさらばだ

さて次回のソフトボールならすこしはうまく書けるかな?

よろしかったらご感想ください^^

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