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彼女の眼鏡に恋をした  作者: 奈良都翼
鑢鏡の挑戦
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鑢鏡の挑戦その①

「どうすればいいんだ……」


 俺は悩んでいた、非常に悩んでいた。姉さんにとっては遊びみたいなもんだが、俺にすれば命を懸けているデスゲームのように感じられる。いすの前足を宙に浮かせ、球技大会のプリントを宙にかざし、上から目を通す。


「ソフトボール……サッカー……バスケ……卓球……バレーボール……バトミントン……ドッヂボール多い一人じゃ無理だ」


 それとあまり俺は細かい作業とかが得意ではない、やったとしても卓球やバトミントンで優勝できるとは限らない。


「どうしたんだ、鏡」


 そのまま体勢を後ろにのけぞらせると博の顔が逆さに見える。


「いや……ちょっと困っててさ」


「話してみろよ」


 後ろから山……岸? が顔を出す。ってか居たんだ。


「『誰だっけ』って顔してるから自己紹介させてもらうがよ、俺は山本だ! いい加減覚えろ、それと俺そんなに影薄いか」


「まあ誰だって忘れることくらいあるさ」


 まだぶつぶついってる山本を視線からはずし、それを博へと向ける。


「話すと長くなるが……」


 俺は姉さんが帰ってきたこと、教育実習で学校に来ていること、体育祭で優勝しなくてはいけないこと、と自分の現場を少しフィクションを交えて二人に話した。


「なるほどね、なら……全部優勝すればいいじゃん」


 博が言い出した言葉はとんでもなく無謀な発言だった。


「できなぇよ、俺は一人だ、全部なんかにはとても……」


「ばーか」


「は?」


「お前だけじゃねえよ、皆でだ」


 続けざまに山本が。


「一人でいいカッコしようなんて、そうはいかねぇ」


 そして博が付け加える。


「お前ら」


「だって友達(だち)だろ」


「博、……山口」


「山本だ、何回言わせる気だ」


 そんな小言も含めて俺たちは友情を確かめ合った。隠して俺の挑戦は始まった。限りなく無謀な挑戦が。




 体育祭一日目午前


「さて前はなした通りやるしかない、分かってるだろ?」


 頭脳派の博は俺たちに指示を与えていた。一日目の競技はバスケ、サッカー、ドッチボール、バトミントンだ。クラスにいる元サッカー部の連中が数名いるため、ひとまずバスケを集中して優勝させる動きになった、ドッチボールは午後からなのであまり考えない。バトミントンに関しては博に何かしら策があるらしい。


「おう、まずは確実にバスケを取っていく、だろ?」


 試合は最大4、なるべく体力を消耗せず勝ち抜く必要がある、ほかの競技はクラスのメンバーを信じるしかない。


「じゃ、行きますか」


 もう招集が掛かっている。まずはここをしっかり取っていこう。1試合、目相手は数名バスケ部が含まれる優勝候補らしい。運がいいといえばそれまでだろうが負けるわけには行かない。


「「「お願いします」」」


 ジャンプボールには俺が立った。理由は背がチームで一番高い、まあ妥当な判断だ。


「では始め」


 ボールはギリギリのところで力で押し込んだ。それは博の手元へと届く、あらかじめ敵の位置を把握していたのだろう合間を縫って一気に敵陣にふみこむ。しかしあくまで頭脳派、敵をかわす力もなく囲まれていく、しかしそれは博の行っていた通りの展開だ。


「鏡っ!」


 パスと言うよりは投げつけると言ったところだろう。そんな乱れるボールをしっかり手の中に入れゴールへと近づく。多くが博のほうへと向かっていたのもあり、すんなりゴールまで近づくことができた。そのままレイアップを決め先制を決める。


「よし!」


 ちなみに今日のためにこのシュートだけを俺はただひたすら練習しておいた。入らないはずがない。


「しっかり守るぞ」


 相手はすばやい連携を見せ深部へと向かってくる。臆せずに、その一人を捕らえパスを叩き落す。そして迷いもなく敵陣に走り始める。コートの半分をきったところでボールがこちらに帰ってくる。それを誰もいない陣地で一人確実に入れ込む。


「なんだ、ボールが勝手にあいつのほうへ!?」


「いったい、何が起きた!?」


 相手はこのカラクリに気づいていない。もし俺が敵だとしてもそうだろう。ボールは再び相手へと移る。しかし相手の動きはさっきので把握した、パスに割り込みボールを叩き落す。さっきと同じようにゴールへと向かい。帰ってくるボールをコートへと叩き込む。


「何が起きてるんだよ!?」


 答えは簡単だ。見えない壁がそこにあったとしたら、それが光を反射する鏡のようにボールをこちらへと打ち出したのなら。そう単純に見えない何かがこちらへとパスをしている。それが一瞬だからこそ誰も気づかない。


「さあ、一気に突き放すぞ」




「何で誰も気づかないんだ……」


 別に特別なプレイをしていたわけではない。しかし彼の撃つ球は最後の10分まで誰にも気づかれることはなかった。気づいてもらえたと思ったら、すぐに忘れられた。そして試合終了まで決して気づかれず試合を勝利に導いた。山本太郎、持ち前の影の薄さだけ(・・)を利用しパス回しに特化した影の選手によって。


「お疲れ、俺は分かってたぜ山中」


「名前をわかってないよ、山本だちゅうに」


 そんなぐちもすぐに笑い声に変わる。十分に余裕ができた、始めに強敵を倒せたからこそ他に力を裂くことも可能だ。


「それで、どうするんだ?」


「このまま確実に取る、他に力は裂かない」


 そのまま午前の部で一つ目の優勝を飾ることができた。そこに見えない選手の活躍があったことは言うまでもないだろう。

あまりスポーツには詳しくないので

正直球技大会はきついです;;

でもがんばって書いていきますよ


よろしかったらご感想ください^^

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