鑢千鶴の襲撃その②
「千鶴先生その荷物お持ちします」
そんなこんなで腱君と仲良くなることができた。聞き分けのいい子で、なぜ不良だなんていわれているのか疑問なくらいだ。
「あら、ありがとう。じゃあお願いしようかな?」
「お安い御用です」
職員室に入るとほとんどの先生方が目を丸くしてこちらを見た。
「ありがとう、ここまででいいわ」
「そうですか、ほかにお手伝いできることがあればぜひともお呼びください」
そう言うと健君は職員室から出て行った。
「ち、千鶴先生どうなさったんですか?」
「何がです?」
少々頭の寂しい先生が尋ねてくる。
「彼のような生徒を手なずけるなんてすごいですよ、どうしたんですか?」
仲良くはなったが、別に手なずけたわけではない。
「いえ別に少しだけ話しただけですよ」
どうやら教員と言う職業は私の思っているものの数倍難しいようだ。
「さてと、生徒会室にでもいくか」
俺は一階の自販機を経由して生徒会室に行くことにした。途中職員室の前を通るが正直この学校の教員を怖いと思ったことはない、少し崩した制服を調える手間は省きたい。
「今日は何するかな」
面白い後輩たちの顔を浮かべながら歩いていく。
「ちょっと君」
「はい?」
見かけない女性の教員だ、背が高く目線の位置は俺と10cmも違わない。
「格好がだらしないわよ、ちゃんの直しなさい」
「はいはい」
適当に合図地を打ちながら、そのまま歩く。格好を正す気などさらさらない。
「こら、ちゃんと直しなさい」
何かが横を通過した気配を感じ、後ろを振り返る。そこにはさっきの女性教員の姿はなかった。一体なんだったのだろうか? 再び前を向いて歩き出そうとしたとき違和感に気づいた。
「何だよこれ」
緩めたネクタイも、出していたシャツも、開けておいた第一ボタンも、すべて模範の生徒のように正されていた。そして視線の先には先ほどの教員がいた。
「まさか……」
俺は女性が怖い、触れられただけでも拒絶反応が起こるほどに。なのにその恐怖すら今は感じられない。しかし俺の格好はおそらくあの教員によって直された、俺が気がつかないほどのスピードで。
「あと飲み歩きは校則違反ですよ」
そして先ほどまで俺の手にもたれていた飲み物は彼女の手に握られている。一気に背中から冷たい汗が噴出す。さっき感じなかった恐怖なんかよりもずっと恐ろしいものを俺は感じた。
「……」
声すらも出ないほどの旋律、俺はその恐怖にただ震えることしかできなかった。
「さっきの子、なかなかいい筋肉をしていたわね」
制服を直すついでに確認しておいた感触は非常に心地いいものだった。
「ところであなた、私に何か用かしら?」
うまく追っているつもりなのだろうが、所詮素人の尾行に過ぎない。その気配は私の前に姿を現した。
「まあ用と言うほどのものではありませんが、少し気になって」
女子生徒のようだ、エンブレムの色を見るかぎり3年生のようだ。眼鏡が似合う弟好みの女性といったところだろう。
「なにがかしら?」
「確認は取っています、あなたが鑢鏡くんのお姉さんですね?」
「あら、鏡君と知り合いだったの?」
「生徒会会長、田所小雪です。鑢千鶴さん」
どこか内に秘めているような、ミステリアスと言う言葉が似合う娘だ。あまり好印象を抱かない。
「生徒会長? あの子なにか悪いことでもしたのかしら?」
「いえ、彼には生徒会の庶務として働いてもらっているだけですよ」
「あら、あの子生徒会に入ってたの? まったく学校のことを話してくれないんだから」
「それで少し気になっただけです」
「そう」
「では失礼します」
一礼をしてその子はどこかへと行ってしまった。あまり私の好きなタイプの人間ではないと言うことをあの短い会話のうちから察していた、どこか気に食わない。
「……」
二週間ぶりの投稿てす遅れてすいません^^;
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