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彼女の眼鏡に恋をした  作者: 奈良都翼
踏み出す一歩
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踏み出す一歩その②

「ってことがあってさ」


 話は変わり次の日の昼飯。


「ほお、ずいぶんと慣れたもんだね」


「まあ、長い付き合いだからな」


 今日の昼飯はパン4つにDr.ペッポー500ml、博はきれいにおかずが詰め込まれた弁当に水筒に入ったお茶、そして腱はおにぎりとインスタントの味噌汁、お湯をどこから手に入れたのかは知らない。


「これで思ったより早く生徒会室にいける」


「それよりそれまずくないのか?」


 そう言ってDr.ペッポーを指差す腱。


「ああこれ? 俺が知っている中で1番おいしい飲み物だ」


 この独特のフレーバーはほかとは違う路線を突き進んでいる、そしてその頂点ナンバーワンではなくオンリーワン比類なきおいしさを持っている。みなが口をそろえまずいというが、この飲み物のすばらしさに気づけないことは私的には残念だと思う。今の時代人に流され過ごす人間が多い、しかしこの味はどうだ、誰も進まない道をただ一人進みそしてその道を極めたといってもいいだろう。俺もこの飲み物のように比類なき道を進みそして誰も指さなかった場所へと進みたいそう思っている。この歯医者のような香りを持つ風味。まずいといわれても、ほとんどのものが口をつけなくても、少数のユーザーが、それを認める人々が……いる、それだけで今まで作り続けてきた。ほとんどの人が認めてくれない、だとしてもほんの少しでも認めてくれる人がいるならその人たちに全力で答える。そんな人が物が最高にかっこいいと俺は思う。だからこそ俺はこの味のすばらしさに気づいてほしい、ほかの人とは違う比類なき自分を持ってもらいたいと思う。また自分が孤独で、つらいと思っている人も負けないでほしい。きっと誰かが認めて、そして支えていてくれるのだから。自分の一本通ったものがあればほかに必要なものなど無い。その思いを、道を、自ら進んでいってもらいたい。


「「いやまずいだろ、すさまじく」」




「暇だ……」


 その言葉の通り俺の放課後は暇だった。


「だなぁ~」


 腱も餅のように机にへばりついている。


「何かするか」


 腱の提案に対しての答えを模索してみるがこれと言ったものはなかった。


「麻雀とか?」


 と如月先輩、てか居たんだ。


「こら、校則違反だぞ」


 と言って腕を組んで椅子にのけぞる会長。


「じゃあトランプ」


 にょきにょきと犬小屋から這い出てくる音色の手にはそれが握られていた。


「それもだ、それと没収」


「はうっ」


 あっけなく会長に奪われてしまった。


「じゃあモーハン」


 モースターハンター、牛を飼育するだけのゲームだがこれが意外にはまる、次々と新作が出ている大人気ゲームだ。


「お前ら私をからかっているのか」


 あぁ俺の花子(牛)とのメモリーがっ。


「まったく生徒の模範となるべき私たちがこのようなことでいいと思っているのか」


「だって、暇なんだもの」


 そう暇なのだ仕事があるわけでもなく、ただうだうだと過ごす午後に飽き飽きしている。


「やあぁぁぁぁぁすうぅぅぅぅぅりいぃぃぃぃぃっ」


 悲鳴とも叫びとも絶叫とも取れる言葉とともに生徒会室に突入してきたのは……。


「山口か」


「山本だ」


 そうだ山本だ。


「それで何か用か?」


「大変なんだよ、久美さんがさらわれた」


 退屈な午後は一瞬で忙しくなった、しかし……。


「おいなんで止めなかったんだよお前はそれ見てたんだろ?」


「だって……俺は弱いし、特技があるわけでもない、しかも地味だ名前もよく間違われる」


「それでおちおち俺に助け求めに来たと」


「お前に殴られたっていい、久美さんを助けてくれ」


 自分の弱さを知っているからこそ、こいつは逃げた。


「会長、今から俺は校則を破るぜ」


「なにを……」


 会長が言い終わる前に俺は山本を殴っていた。


「俺がお前を殴ったのはその価値があると思ったからだ」


「鑢……」


「お前に足りないのは、踏み出す一歩だ」

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