パンドラの箱その②
「はぁはぁ・・・・・・、ただ今戻りました」
「お帰り、ちゃんと聞こえたぞ、良くできたなポチ」
「……それ、止めてください」
「おっと、すまないね」
と言って、許さずにはいられないほどの満点の笑みを向ける。
「仕分けは終わったんですか?」
「私は会長だぞ、ほんの38分前には終わっていたさ」
よく見れば紙がゴミ箱に叩きこまれていた。
「さて、分別してみたところ、全132枚中127枚がごみで残り5枚のうち3枚は2年以内に入れられなおかつ、その生徒が在校中、また残りの2枚は今年中に提出されたものだ」
「それで内容は?」
「校舎の明かりが消えているだの、宿題が多いだのこちらに関係が無いものがほとんど、あいにく、いじめ等の問題について書かれたものは無い。そして残った5枚は……」
「おいおい、生徒会はなんでも屋じゃねーぞ」
と如月先輩、ごもっともの意見だ。
「まあまあ、どんな些細なことでも答えるのが生徒会だ、一応我々は生徒代表なんだからな」
「さて」とつぶやき少し考えると会長は指示を出す。
「庶務、君は2年6組、音色は2年15組、如月君は3年2組、私は残りの二つでいいかな?」
「かまわないが」
と先輩。
「私も」
「俺もどっちでも」
「なら決まりだ、早速それぞれの役割を果たしてくれ、それと終了しだい各自帰宅」
「あっけなく終わったな」
もういいや、だそうだそりゃ2年も待つやつなんてどこにもいないよな。
「そうだね」
松戸も同じ口らしい。
「帰るか」
荷物も持ってきているので、後は帰るだけだ。
「駅まで行くの?」
「そうだが」
「じゃあ途中まで一緒に帰ろうよ」
「まあ、いいけど」
「ねえ鏡君」
「…………」
「鏡君」
「…………」
「放置プレーはいいけどさ、何で距離置くの?」
「あんま話しかけんな、目立つだろ」
松戸と俺との距離はとは5メートル離れている、そう他人のふりをしているわけだ。
「さっき十分目立ったわけだしさ、いまさら意味無いと思うなそういうの」
「思い出させるな人生のワーストに入るレベルのトラウマなんだ」
放課後残っていた全校生徒に聞こえるほどの声で「ワン」叫んだ人間がどこにいるのだろうか。ああ、こんなとこにいるや、はは、ホントバカみたい。
「何で泣いてるの」
「違う、これは青春の汗だ」
「えい」
急に腕を抱きつかれる。
「俺がそんな事でどうよ……う」
眼鏡をかけてやがる、ははっ、なんてこった。
「やっぱり鏡君、面白いや」
「ナニガダヨ、オレハドコモオモシロクナンテナイゾ」
「だって眼鏡かけると急に優しくなるし、私を見る目も急に変わるもん」
「ナニイッテンダヨ」
ようやく離れてくれた。
「っ!?」
まるで生き別れの兄弟でも見かけたような表情を浮かべる音色。
「どうした急に?」
「……何でもない」
視線をたどるとギターケースを背負った一人の少女の姿があった。
「知り合いか?」
「私の妹」
「もしかして生き別れの!?」
「今時生き別れって」
なんとか微笑を誘い出したが、根本的なところでは変わってはいない。
「何か悩みでもあるのか?」
「悩みなんて無いよ」
無いはずが無い、そういう顔を松戸はしていた。
「あるんなら言えよ、俺にできる範囲で協力するぜ」
めんどくさいのは大嫌いだ、だけど眼鏡の似合う女性が困ってるのを助けないなんて、男じゃねぇ、俺はそう思う。
「…………」
「言うまで聞き続けるぞ」
「はぁ……分かったよ」
音色は一息つくと。
「実はね、妹がグレたの」
と言った。
「グレた?」
「うん、グレたの、反抗期なの、思春期なの、お姉ちゃん心配なの」
途中から泣き始め、今では目を押さえている。
「で、お姉ちゃん何がどうして妹さんがグレたんだ」
「分からないよ、いつも3時には帰ってきたのに、今では8時とか9時とか明らかに子どもが外に出てちゃいけない時間まで外で遊んでて」
「妹さん今何歳なの?」
「中学3年だから15歳、受験も控えているのにホント心配で心配で」
確かにそれは心配にもなる。
「……まあ俺が男だからかもしれないが、普通遅く帰って親に怒られれば懲りるもんなんじゃないのか?」
「お父さんもお母さんも帰りが遅いから気づいてないし、お姉ちゃんもほっときなさいって」
「まあ今の会話で家族構成は読めた、んでまあ、妹さんを怒ってくれる人がいないと、そういうことだろ?」
「うん」
「しゃあない、俺に任せろ」
「いいの?」
「このまま事件とかに巻き込まれたらやだろ? なによりここまで聞いておいて何もしなで何か起きたら目覚めが悪い」
それに眼鏡が似合う女性が悲しむ姿は見たくない。
「ってことだ、いまから追うぜ、じゃあな」
「鏡君、お願いね」
「おうよ」
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