生徒会長の謎その⑤
「ん…………」
目を覚ますとブランケットがかけられていた。
「あいつ」
ピンポーン
「はーい、今行きます」
ドアを開くそこには……。
「やあ元気かい?」
生徒会長その人、一見カジュアルな服装に見えるが所々フリルや刺繍が施されて降り、いつもひとつに束ねている髪も止めずに長く伸ばされている、いつもの厳格なふいんきとは違う一面に俺の鼓動はいつもより早くなっている。
「か、会長!? おはようございます」
「おはよう、それと会長って言うのは止めてくれもちろん先輩もダメ、今はプライベートだ」
「えっと田所さん?」
「あいにく私は苗字で呼ばれるのは好きじゃないんだ」
「じゃあその、……えっと……こ……ゆきさん」
凄いドキドキする。
「さんも付けもするな、うっとうしい」
鼓動が限界を忘れてスピードを上げていく、震えるぜハート! 燃え尽きるほどヒート!!
「おおおおおっ、刻むぞ血液のビート!」
「何を言っているんだ?」
できる、俺にならできる、たった3文字それ以上はいらない。
「こゆ……う財産ってなんですか?」
「ある人の財産のうち、法律上の特別な扱いを受ける信託財産や財産分離中の相続財産を除いた残りの財産、ではなかったかな? それが」
「いや……特には、こゆ……う角運動量ってなんですか?」
「軌道運動をしていない、静止した粒子の有する角運動量だ、それがどうかしたのか?」
「いえ、特には……こゆ……」
もうやめて、俺のボキャブラリーはとっくにゼロよ、もう勝負はついたのよ。
「こゆ?」
追い込まれた腹をくくるしかない。
「き」
一瞬の静寂そして……。
「ぷはははっ、やっぱり君をからかうのは面白いな」
会長が大爆笑、俺が芸人だったら喜ばしいことなんだろうが、なんていうか……惨めだ。
「敬語を使っているのに呼び捨てなんて変です、それに俺だけ名前で呼ぶなんて不公平ですよ」
「そうかじゃあ鏡、敬語を止めてくれ」
どうやら墓穴を掘ったらしい。
「それと、今言った要望道理にしないと返事しないぞ」
そして穴の中にいれられた、もうあとは土をかぶせられるだけだ。
「あぁもう分かった、これでいいんだろ? 小雪」
結局自分で土をかぶせた、ずいぶんと手間のかからない死人だこと。
「よくできました」
にこりと微笑み返す小雪、どんな横暴も許さずにはいられないほど満点の笑顔、こんなの反則だ。
「ところで、どうしてここに来れたんだ?」
「私は会長なんだぞ、一人一人の情報なんて簡単に手に入るさ」
「それっていろいろまずいんじゃ……」
「細かいことは気にするな、それとようやく本題に入るが……」
といって一息吸い込むと。
「デートに行こうじゃないか」
「え……」
一度思考がフリ-ズし、再稼働するまでに5秒ほど。
「デートって、言うのはつまり……遊園地やら動物園やらに男女が行くというあれ?」
「正確には日時や場所を決めて男女が会うことなんだが、まあそんなもんだ」
「それを二人っきりで?」
「ああ」
「ちょっとほっぺたを抓ってみてくれ」
ほっぺたを抓る小雪、痛い痛いよ、でもこんなに嬉しい痛みは生まれて初めてかもしれない、今だけならあっちの世界の方々の気持が分かる。
「凄い嬉しそうだが、やっぱりあっちに目覚めてしまったのか?」
その言葉で一気に理性が戻る。
「違う」
「そうか、じゃあとりあえず着替えて来い、そんな格好じゃなんだろ?」
ジャージで統一されたすばらしいファッションに身を包んだ自分。
「分かった」
「御嬢がいない!?」
「どこかにいるはずだ、よく探せ」
黒服の男達が騒ぎ始める。
「いったい何事だ」
風格のある男の一喝で辺りは静まる、その男の名前は田所辰巳。
「御嬢がいなくなりました」
その静寂を一人の男が崩す。
「いったい何をしていた!! 早く見つけ出せ」
その男が殴り飛ばされるのと同時にその止まった時間は動き出す。
「まさか……」
そのことを聞いていた一人の青年はその場をあとにした。
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