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ON!ステージ!

第5章 にゃんだふる!?


「申し遅れました。私スカウトマンをさせていただいてます。アニマルズ事務所の者です。こちら名刺です!この度はこちらのブラン君の活躍を見て、是非事務所にと思いお伺いしました。あっこれ、お口に合うとよろしいのですが虎屋のどら焼きです。良かったら頂いてください。ブランくんの配信はお伺いさせて頂いてますよ!内容はありきたりですが、何より見てて飽きないそのビジュアル!特に、惹き込まれるような瞳!白い肌!そして白い髪!髪を伸ばすのには苦労したでしょう!!というかお母さま似なんですね。とっても可愛いですよ!歌とダンスは平均的ですがレッスンでいくらでも上手になりますからね。あとあなたの特徴といえば、少々ズレてる所。なにより初メイク配信は芸人のようなコントで、あれはバズるべくしてバズったと言っても過言ではありません!!!ですから………… ……」

なっ長い!!話が長い!!そしてめちゃくちゃ早口だ!!!そしてグラサン外せよ!?

途切れることない一方的な会話が続く中、母さんは急に立ち上がった。

「とりあえずご飯食べていかれますか?うちはこの時間のはご飯なんですよ。」

母さん!??

「宜しいんですか!?このちょっと天然な所も母似なんですね?!」

スカウトマンさん!?

嘘だろ!? おい!!!


「うっま!手作りなんて久しぶりですね!!特にこの煮物とっても美味しいです。秘訣はなんですか?なにか使ってるんですか?ご飯もちょうどいい硬さで何杯でも行けます!!こんな美人のご飯が食べれるなんて幸せだ!」

食べながらよく回る口だな。 スカウトマンさん。ちなみに母さんは20の時に僕を産んでるんだから単純計算で、貴方の年齢から10は歳上ですよ。

「美人だなんて、ゆっくり食べてくださいね。オカワリもありますよ。」

得体の知れない人に餌付けしないでよ。しかもなんで横なんだよ!!

あっ母さん!デザートあるのは嬉しいけど1人にしないで!!

デザートの用意するわねと言って母さんは部屋から出ていってしまった。

ダイニングテーブルに横並びでスカウトマンと僕が座ってご飯。

謎すぎる!?何故?普通対面じゃない!?

「してブランくん。君はアイドルのアカネちゃんの大ファンなんだってね?」

ゴッフ!!口に物入れてる時にそれ続けるの!?ニヤニヤすんなスカウトマン!!

「アカネちゃんはうちの事務所のアイドルだ。もし君がデビューするなら普段はソロだが」「入れてください。」

(ガタッ!!)

「うん???おっおう落ち着きたまえ。」

「アカネちゃんの横に立ちたいんです。その為なら何でもこなしてみせます。アカネちゃんに僕は救われたんです。僕はあかねちゃんの横で並んでみせます。」

(ギシッ……)

「君は横に収まるような奴ではないよ。とても将来が楽しみだ」

「あっこら!!!ブラン!お客様に馬乗りなんて何してるの!!」


え?

気がついたらスカウトマンの椅子に覆い被さるような体勢になってた。

いつの間にスカウトマンと椅子の向きを変えれるような筋肉が自分には有ることがわかった。

「チャオ!」

バキ。椅子が軋む音がした。

「うわッ!?」「うおっ!?」ドシン!

「きゃ!?大丈夫?」

どうやら椅子の耐荷重をオーバーしたみたいだ。 母さんごめん。椅子は出世払いで返すね。

「イッタ!!!!くぅ…。」「ははは!たまげたな!」

「2人共怪我はない!?」

ケツ打った……。痛てぇ。

痛がる僕の横でスカウトマンはスクッと立ち上がる。

「大丈夫ですよ!奥さん!椅子の破壊、それに、お食事を騒がせてしまって申し訳ない!ともあれ。」

グラサンの奥から僕を見通す目が見える。僕を見ていると思う。けど見られてるのは別のナニカのような感じがキッショい。見透かされてるってこういうことをいうのかな。

手を伸ばしてくる。びっくりして、ビクッと体が震えた。

「さぁ立ち上がって、これからよろしく頼むよ!ブランくん?」

差し伸べられた手を掴んだ。グイッと引き上げられた。僕も高校生なのにそれはそれは軽々と。

そして腰に手を回された。はぁ!?!!

「君は大スターになれる!」

「腰を触るな!?!!」

全力で手を前に伸ばし、スカウトマンの胸を押す!ビクともしない力強すぎ?!

「ブラン!こら!起こしてくれたのに失礼でしょ!!」

「いや見た!母さん!腰に手回されたの!?!」

「いやスキンシップをと思いまして。」

「やめろ!このやろう!!」


こんなドタバタの中僕の事務所所属は決まった。

この後デザートに用意してくれたのは僕の大好物。手作りの杏仁豆腐だった。

「ここからは大人のお話だ。お母さまとお話がしたいからブランくんは別の部屋に居て欲しい。構わないかな?」

多分扶養?とかそういう話だろうな。

「ブラン。」

「はーい。なんかあったら叫んでね。母さん。」

「私の事なんだと思ってるんです?」

そら美人でド天然な未亡人の母親ですけど?

「ダメだよ。母さんこんな男に引っかかったら、僕お父さんとは認めないからね。」

「私の事なんだと思ってるんですか!??」

部屋を出ていこうとした。その時だった。

「ブランくん!さっき説明したけど、普段はソロだが、アカネちゃんをセンターとしたグループでの活動を事務所は考えてる。」

それ。

「さっきも聞いたけど?」

「ユニット名は決まっててね。ユニコーンカラーズって名前なんだ。」

「ユニコーンカラーズ。」

「覚えておいてねー!!」

ユニコーンカラーズね。


アカネちゃんの真横に立てる。こんな転機が来るなんて。僕は付いてる!!

部屋に帰った。僕は座り込んだ。

アカネちゃん。アカネちゃん!もうすぐ君に会えるんだ。僕のこと認知して貰えるんだね?

ステージで下からしか見れなかった君とおしゃべり出来て、一緒のステージにたって、歌って踊って、アカネちゃんと僕の姿のキラキラしてる所を魅せつけれるんだね?

待ってオフも見れるの!??!


「最高か───────!!!!」


その頃リビングにて、

「もうブラン!うるさいわよ!!」

僕の叫びは響いていたようだ。

「ははは。元気で大変よろしい!」

スカウトマンはゲラゲラ笑ってたそうだ。

「あっ奥さん!杏仁豆腐気に入りました。オカワリいただけますか?」





第6章 アイドルってヤバい。


「むっむりー。」

僕は事務所に所属してからのデビューライブに参加。そのあとの握手会を終えたところで今日、初めて椅子にドカっと座り、灰になった。

デビューライブとはいえ色んなアイドルが歌う事務所のイベントの前座。

1曲しか歌ってないし、握手会だってそんな長い時間してた訳じゃない。

ソロライブとか俺死ぬんじゃないか?

「Hey!ブランくん。衣装がシワになるから脱いでくれよな!」

「……あとちょっと座らせて。」

「ダメだ。」

マネージャーは僕の椅子の前に来て

「うわっ!?ズボン剥ぐな!」

「君が脱がないからだろ!ほら上もだ!」

「この!!このスカマネ!」

「ハハッ!元気じゃないか!」

僕のマネージャーは何故か、あのスカウトマンだった。

スカしたスカウトマンマネージャーでスカマネだ。

「ほら!着替えだよ。」

「嫁に行けません。」

「君の場合嫁が来るんだろ?」

ご丁寧に畳まれた私服に、飲み物を渡され、速攻着替えた。

「他のアイドルと違って大部屋に押し込まれてないんだから、そんなに疲れないでくれよ。」

僕は生物上男であるので、他のアイドルとは別部屋である。

もちろん付近を通るのは禁止。マネージャーが居ないと挨拶にも行けない。

というか今日、あかねちゃんがいたなー。あかねちゃんでも僕のすぐあとだったから、最後のアンコールも控えてるんだろうな。いいなー。

「あっそうそう。今日、うちの事務所の出してるアイドル特集の打ち合わせがあるからその汗臭い体どうにかしてくれよ。君、しっかり男臭いね。脱毛とメンズケアクリニックの申請しておかないとね。」

ゾワッ……。鳥肌が立った。

このライブに至るまで様々なところを女性に見られた。

全身脱毛だー!!と連れられていって女性のスタッフさんにアソコまで見られた。

恥ずかしそうな僕を見て「気にしなくても大丈夫ですよ。皆そうなので。」と言われた。でも恥ずかしいものは恥ずかしい!!!!

「えっまた裸見せなきゃダメですか?」

「はっ!夏には水着着てもらうからね。見える所は全部見てもらうよ!それと私が渡したスキンケア用品ちゃんと使ってるかい?サボってないだろうね!?ニキビなんて出来たら大変なんだからね!まぁ君思春期あるあるの肌ボロボロボーイじゃないしそこまで心配してないけど、あっと!その君の白い肌は今まで紫外線のダメージが少なかったからとも言える。気をつけてくれよ!よし!さぁ立って!」

いつの間にか荷物を片付けていた。スカマネは僕の手を引いた。

「どこに行くんですか?」

ずいずい手を引かれながら通路を歩く。正直建物の構造を理解してないから着いていくしかないんだけど。

「ライブ見てから会場引きたいだろ?今君のユニットメンバーが踊ってる。あっゆうの忘れてたけど、ユニットは君と同期のデビューの子達の中で上位5人にあかねを加えたユニットだから他の同期に負けないでくれよ!」

えっ正直あかねちゃん以外興味はないけど。そのユニットの話は初耳。

「今回デビューしたのは15人。そのうち上位5人はユニットに、下位5人はソロのまま活動。そして!」

急に反転して僕と向かい合った。スカマネに頭突きしてしまったが、ビクともしなかった。

「最下位から5人はは余程の実績が積まれないと1年で契約終了だ。」

えっ!?それは初耳!!!

「さーて!ライブ会場はこっちだ!!」

再び手を引かれて転けそうになる。

「いや、マネ?!聞いてないんですけどその話!?」

「なに、デビューの半分は未経験!SNSのアカンウトすら今からだ。気にしなくてもいい。 君が勝たなくてはならないのはこれから見る彼女のような別事務所からの移籍アイドルだよ。」

連れられてきたライブ会場には紫色の和風テイストの衣装を着たアイドルが踊っていた。あかねちゃんとは違ってキレイめ顔。一緒に並んだら差別化ができていいユニット相手に見える。そして何より

「歌うま。ダンスも力強くてカッコイイ。」

見ていたら曲が終わったみたいだ。

「今何曲目!?」

「3曲目!!」

「まだまだ行くよー!!!」

「「「うおーー!!!!」」」

まじか。1曲目で僕はへばってたのに。

「彼女は私の事務所に移籍してきた元子役のアイドルだ。君とは同期になるがデビューは1か月前だ。元々アイドルに強くない事務所がアイドル事業に手を出して失敗し、うちに来たって訳。彼女が君の同期のトップランナー。君のライバルだ。この3ヶ月で彼女より人気になってもらう。」

勝てない。そう思った。

「君には整った容姿、他に引けを取らない(男の子)である個性。歌やダンスも下手ではない。3ヶ月でできるだけのことはこちらもする。あの子に、いやうちのアイドルでも上位に君臨するあかねでさえも君はさらに上に行ける。自信を持って。君は綺麗だ。」

そんなこと言われたら。

「うるせ。スカマネ。」

嬉しいじゃんか。

「うわ酷い!自信つけてあげたのに!?私は自分で捕まえてきたタレントはしっかり面倒見るんだよ!?」

「でっどうしたらいいの?」

「うん?」

やってやろうじゃん。

「ぼくは何から始めたらいい?」

「そう来なくっちゃ。」

右手を差し出された。僕も右手を差し出して握手をした。

「いい加減グラサン外せよ。ぼく、顔覚えられないと名前も覚えられない。」

事務所に所属して3ヶ月は過ぎたがまだマネージャーの素顔を見た事がない。

「仕方ないな。」

サングラスをはずしたマネはとんでもねぇ中年のイケメンつまりイケおじだった。

「うわっ」

予想外のイケメンに顔が固まる。

「おいこら。人の顔みて「うわっ」とはなんだ。私は元々売れない地下メンズアイドルだったんだ。自分で言うのもなんだが、イケてるだろ?もう引退して裏方にひいてからもまだファンが多くてね。普段はサングラスをつけてるって訳だ。改めて、馬先(うまさき) (かける)。よろしく頼むよ。ブランくん。」

悔しいが、俺には一生なれない男の好きそうな男臭いイケメンのマネジャー。

この人も売れない世界。

いや悲観してる暇はない。とりあえず打倒 同期!!!

「という事でブランくん!休んでる暇は無いよ!頑張りたまえ!」

サラッと渡されたスケジュールに絶句した。

ほぼ毎日レッスン。ケア。ライブ何かが入ってる。

「大丈夫。週1回はケアだけの日。それに完全休みも週に1回は入ってるだろ?」

アイドルって過酷だ……。

「あっそうだ。君が自主的にすべきことを言い忘れたね。」

「おう。僕は何したらいい?」

「とりあえず!体力作りだね!」

アイドルって過酷だ……。

「下を向いてる暇はないよ!ブランくん!」

次回は時間が開きます。見てくださってる方ありがとうございます。そして申し訳ございません。

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