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第六十六話

「あなたがあの戦いに勝たないと、夢の世界はおろか、現実すらなくなってしまいます」

 女性が淡々と語るが、その中には焦りが見えていた。

黎慈は事の重大さに気づき、顔を上げる。

「あいつに負けたら、この世界ごと…」

 なくなる。

夢も現実も全て。

 女性が静かに頷く。

「今の戦いは、個人間だけの戦いではありません。この勝敗で、世界の命運がかかっています」

 女性のその発言で、黎慈の不安がさらに加速した。

だが、心の奥ではどうしなければいけないのかは分かっていた。

「俺には重すぎる…」

 黎慈は拳を握りしめ、うつむいた。

これまでの戦いでの疲労と痛みが、重くのしかかる。

 その瞬間、衣百合の笑顔が脳裏に浮かぶ。

あの笑顔を守りたい。

 あの場所で、思い出を作りたい。


その考えで、黎慈の覚悟は決まった。

「ここでくたばったら、みんなを救えない…」

 黎慈がそう言うと、女性が優しく微笑む。

「…変わっていないようですね。安心しました」

 女性の謎の発言が気がかりだった。

だが、一刻も早く戦線復帰をしたい気持ちに狩られる。

 黎慈はゆっくりと立ち上がる。

そうして、女性の顔を再び見据える。

「あの場所に戻してくれ」

「決着をつける」

 女性の顔を見ると、安堵した表情をしていた。

「分かりました」

「夢の主人はすでに人ならざる者に成り果てています。どうか気をつけて…」

 その言葉を最後に、視界に白いモヤがかかっていく。

感覚も無くなっていった。


「グオオオオオ!!!」

 大きな声に気がつき、咄嗟に目を開ける。

和寿だった存在が目と鼻の先にいた。

 それに気がつく前に、すでに右手が前に突き出ていた。

「がっ!!」

 怪物と黎慈の間にものすごい轟音が鳴り響く。

明らかに和寿だった者のパワーが強くなっているのを感じる。

 だが、そう感じるのとは裏腹に自分にも異変があることを感じた。

軽々とまでは行かないが、先ほどとはかなり楽な力で攻撃を受け流すことができた。

 疲労感もかなり軽減されている。

その流れで、左手に溜めていたブラムを怪物の足に叩き込む。

「ドゴーン!!!」

 凄まじい音と共に、怪物の足で爆発が起こる。

ブラムの力もどうやら上がっているようだった。

「これなら…!」

 黎慈はあの女性が授けてくれた力だと確信した。

黎慈は景佑がいる方までステップで下がる。

 どうやらブラムのみが上昇しているわけではないらしい。

身体能力も上がっているようで、少しの跳躍でかなり後ろまで下がれた。

「お前、何かあったのか?」

 景佑がそう聞いてくる。

「まあ、ちょっとな?」

 冗談混じりで言った。

 だが、すぐに真剣な表情に戻る。

「もう大丈夫だ。この戦い、勝たなきゃいけないんだ」

「協力してくれるか?」

 景佑に了承を得ようとする。

顔を見ると、どうやら聞くまでもないらしい。

「ふん…当たり前よ!」

 景佑は勢いよく返事をする。

「よし。決まりだな」

 そう話していると、怪物が憎悪の眼差しでこちらを見てくる。

「どうやら話している時間はないようだな」

 景佑がそう言うと、怪物がこちら目掛けて突っ込んでくる。

「作戦はアドリブで頼む!」

「行くぞ!」

 黎慈は怪物に向けて突っ込んで行った。

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