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第六話

黎慈は夢の中の出来事について話すために、早めに学校に行くことにした。

衣百合や亮がまだ寝ている中、黎慈は寮を出た。

 黎慈は学校につくと、教室には誰も居らず、物静かな雰囲気が漂っていた。

教室には景佑は居らず、昨日景佑に呼び出された教室へ向かった。



 教室につくと、景佑が何か考えているようで、窓側の椅子に座っていた。

 景佑はこちらの存在に気づかず、黎慈が教室に入っても気づかなかった。

 黎慈は後ろから景佑を呼びかけた。 

「景佑!来たぞ」

黎慈がそう言うと、景佑が振り向いてハッとした顔で黎慈を見た。

「黎慈!昨日の夢の中での出来事なんだが、、、」

「ああ、分かってる。状況をまとめよう」

2人はそう言うと、夢の中で起きた事をまとめ始めた。

「昨日、夢の中で出会った少女から渡された物をつけた瞬間、景佑は何か感じたか?」

「何か得体の知れないものが、体に流れ込んでくるのを感じたな。おそらくだけど、そいつが脳内に直接語りかけてきたんだ」

「うん、俺と同じだ。その声が聞こえた瞬間、あの力が使えるようになったで間違い無いな?」

「ああ、不思議な体験だったな」

「昨日の夢での出来事は絶対に他人に話すなよ。他人を巻き込みたくない」

「お前もな、黎慈」

 そう言うと、景佑が黎慈の前に拳を出し、黎慈がそれを深く握った。



 その瞬間、誰かがこの教室の扉をゆっくりと開けた。

 黎慈が振り向くと、そこにいたのは衣百合だった。

景佑は衣百合のことを知らないらしく、黎慈に話しかけた。

「誰?お前の知り合い?」

「同じ寮に住んでる先輩だ。でも寝ていたはずじゃ、、」

 2人が話していると、衣百合が口を開いた。

「私、寮の玄関から誰か出て行くのが聞こえたから、不思議に思ってついてきたの。ごめんね、悪趣味で」

「今の話、最初から聞いていたんだけど、2人はこの街の夢についての真相を知りたいんだよね。おそらくだけど、今広まっている噂通りだと、かなり危ないと思うから、できればやめてほしい」

「だけど、それを私には止めることはできない。けど、真実を求めるなら、、、」

衣百合は一呼吸おき、話し始めた。

「私にも手伝わせてほしい。もちろん、無理にとは言わない。だから、2人には放課後までに考えていてほしい。また、放課後にこの教室で」

 そう言うと、衣百合は教室を出て行った。



黎慈と景佑は衣百合の処遇について話し合い始めた。

「景佑、俺はさっき言った通り、他人を巻き込みたくないのは変わらない」

「でも、俺らの夢についての話を知っている以上、仲間に引き入れるしかないんじゃねえか?変な噂流されても面倒だし」

「衣百合はそんなことする人じゃないとは思うんだが、確かに一理ある考え方だな」

 教室の外の声が騒がしくなってきた。

 どうやら電車通学の生徒達の時間らしく、一旦は昼休みにまた考えをまとめることにし、2人は教室を後にした。



 2人が教室に戻ると、前の扉の近くで衣百合が立っていた。

手には小さな布の袋を持っており、黎慈が帰ってくるのが見えると、衣百合がこちらに歩いてきた。

 衣百合は布の袋を黎慈に渡した。

黎慈はこの布の袋の正体がわかっておらず、困惑した表情で衣百合を見た。

「それ、お弁当。机の上にあったのに持っていかなかったでしょ。届けにきたの」

そう言うと、衣百合は自分の教室の方向に歩いて行った。

去り際、衣百合は黎慈の耳元で囁いた。

「さっきの件、考えておいてよ。生徒会長として、色々と解決したいの」

 黎慈と景佑が教室に戻ると、何か勘違いをされているらしく、黎慈と衣百合の関係性について噂されていた。

 黎慈は特に気にせず、自分の席に座った。



しばらくすると担任が教室にやってきて、朝のホームルームを始めた。

「あい、週番号令」

「起立」

「礼」

「着席」

「えー、今日から早速通常授業なので、気持ちを切り替えて臨んでください」

「あと、一週間後には部活動結成があるので、部活に所属している奴は忘れずに行くように」

「んじゃあ、終わり。週番、号令」

「起立」

「礼」

 朝のホームルームが終わると、黎慈は教室の前の扉にいる担任の木俵に呼び出された。

「黎慈だっけ?今日の放課後、二年主任の和寿先生が話したいことがあるらしいから、その人のところまで行くように」

「お前、この学校に転校して間もないんだから、あまり変な行動起こすなよ」

「特に景佑と仲が良いようだけど、十分気をつけて生活するように」

 そう言うと、担任は去っていた。

去り際に担任が何かを言っていた。

「何か起こしたら、仕事増えるだろクソが。手を煩わせるなよ」

 まるで生徒を金稼ぎの道具としかみてない木俵の裏の顔に、黎慈は恐怖を覚えた。

 黎慈が教室に帰ると、始業のチャイムが鳴って、休み時間になるまで授業に勤しんだ。

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