第五十九話
黎慈は周りの化け物を片付けた。
特に手掛かりはなかったが、また部屋には複数の扉があった。
前にきた時よりも、かなり扉が増えていた。
「またこれか…」
黎慈は独り言を漏らしながらも、一度前の部屋に戻った。
次は入ってきた扉の左にあった部屋に入った。
ゆっくりと扉を開けると、中は知らない部屋だった。
内装はただの図書室のように、本棚があった。
ただ例に漏れず、中は散乱していた。
本や棚が無造作に床に散らばっている。
中に何があるわけでもなく、パッと見手掛かりはなさそうだった。
黎慈がその部屋から出ようとすると、床に一際目立つ本を見つけた。
金の装飾が施してあり、革でできていた。
その本を徐に手にとる。
最初のページをめくると、何やらあらすじのような文章が書いてある。
所々汚れていて文章が読めないが、中にはこう書いてあった。
『…字 …音』
最初の文はおそらく名前だろう。
かろうじて名前が書いてあることが分かった。
その後の文章は虫食いすぎて読む気にすらならない。
黎慈は最後のページまでさっとめくる。
中身もかなり汚れている。
泥や得体のしれない物質で読める物ではない。
最後のページまでめくると、かろうじて読める文字があった。
『2−3 1−2』
何かの番号だろうか。
何となくの勘で重要だと感じ、本の最後のページを破り、ポケットにしまった。
その部屋を後にした。
そのさらに左側にあった部屋に入る事にした。
中はどこかの廊下に繋がっていた。
ここにしか当てがない黎慈は、さらに奥へと進む事にした。
相変わらず床に物が散乱していた。
慎重に進んでいくと、扉があった。
一見普通の扉だ。
ただ、ここに来るまでの通路に扉がなかった。
『怪し過ぎるな…』
そう考えつつも、扉を開ける。
中にはいるも、特に何もなかった。
そう、不自然なくらいに。
窓すらついてなく、周りにあったであろう家具も綺麗さっぱり無くなっている。
『おかしいな…』
そう周りを見渡していると…、後ろから鈍い音が聞こえた。
「うっ」
黎慈は唸り声を出し、気を失った。
「ふう…ふう…」
景佑は迫り来る化け物たちを抑えるのに必死だった。
体力も底をつきそうだ。
『だめ、なのか…?』
景佑が膝ごと崩れ落ちそうになると、化け物たちの動きがピッと止まった。
その瞬間、周りに無数にいた化け物は結晶のようになり消えた。
「黎慈さん。やってくれたんですね…」
夢の住人は安堵した表情をしていた。
「やってくれたのか…あいつが…」
景佑も安堵し、脱力したかのようにその場に倒れ込む。
「やった!私、帰れるの!?」
「もちろんです」
朱音はかなり嬉しそうにしていた。
「景佑さん。早く黎慈さんの元へお願いします。転送はこちらでやっておきます」
「分かった。また現実で会おう、朱音」
そう言うと、景佑は夢の核に向かって走り出して行った。




