第五十七話 攻略開始
「では、とりあえず夢の核まで向かいましょう」
三人は夢の核に向かって歩き出して行った。
「とりあえず着いたが…」
ただならぬ雰囲気が出ている。
空気も先ほどとは打って変わって、色欲のように甘ったるくなっている。
頭がクラクラするくらいだ。
屋敷の外周にあった城壁も、ほぼ半壊で無くなっている。
「黎慈さん。ここからは一人行動でお願いします」
「ああ、分かった」
黎慈は深く深呼吸をした。
そして、景佑の方を見て一言。
「生きてたら、また会おう」
「縁起でもないな」
二人は冗談混じりで笑った。
「朱音を現実に返したら、俺もすぐに向かう。それまでくたばるなよ?」
「フッ、どうかな…」
黎慈はそう言うと、夢の核の中に向かって行った。
半壊していた城壁の内部に入ると、中は化け物が無数にいた。
ただ、襲ってくる様子はない。
まるで感情を失い、無気力になったような状態で彷徨っている。
黎慈はそれを横目に、中に入れそうな場所を探し始めた。
屋敷の外側を色々と見ていると、壁が豪快に破壊されている場所があった。
「ここからなら…」
黎慈はその穴から、屋敷の内部に入って行った。
幸い、穴の先は小さな部屋になっていた。
ただ、誰かの話し声が聞こえる。
「こんな事態は初めてだぞ!主人はなんと?」
「…まだ情報が回ってこない。しばらくは待機だろうな…」
二人が話している様子だ。
壁越しから聞こえてくる。
「あーもう!むしゃくしゃする!ちょっと行ってくるわ!」
「ば、ばか!待て!」
二人は動揺しているように感じた。
『今しかない!』
黎慈は部屋の扉を最速で開けた。
扉を開けると、案の定兵士のような格好をした化け物がいた。
「だ、誰だおま…」
声を出させる間もなく、一人を倒す。
もう一人も、連鎖反応の如く始末する。
あまりに早い身動きに、自分でも困惑していた。
「いつもより、体が軽いな…」
手を何度が握りしめる。
ブラムを使っても、全く疲れない。
『これも、不安定が故の影響なのか?』
とにかく、黎慈は先を急ぐ事にした。
「それで、これから向かうところなのですが…」
黎慈が夢の核に向かったのを確認し、夢の住人が話し始める。
「景佑さん、前に夢の主人である和寿の記憶を見た場所って、覚えてますか?」
現実だと、あの大きな公園だ。
ここからそう遠くないことも覚えていた。
「もちろんだが…」
「まずはそこに向かいましょう。景佑さん、案内をお願いします」
三人は景佑を先頭に、公園がある場所まで向かった。
「ここが…」
朱音が公園に着くなり、上を見てそう呟く。
それもそのはず。
公園の上空には、雲らしき物体が楕円形になっていた。
まるで、世界を繋げるポータルのようだ。
「あれが、現実と夢を繋げるものです」
「まだ使えませんが、黎慈さんが夢の主人の注意を散乱してくれれば開きます」
「それまでは、我々の防衛を頼みます」
景佑は困惑の表情をしていた。
今まで化け物なんかいなかったのに、何を今更。
そう考えていると、RPGで敵がリッポプしたように化け物が無数に湧いて出てきた。
その化け物たちが一斉にこちらに向かってくる。
「来ます!」




