第四十七話
「まず、私に具体的な説明貰える?」
黎慈と景佑は具体的な説明を衣百合にし始めた。
「簡単な内容は黎慈くんから聞いてたけど、不思議な話だね。まあ今さら驚かないけど」
流石に慣れっこだ。
「どうやって注意を引くかだけど…」
黎慈は頭を抱えた。
これと言って特に思いつかない。
思考を巡らせていると、衣百合が話し始めた。
「夢の核がある場所はこの学校なんだよね?」
衣百合がそう聞いてきた。
二人は頷く。
「なら、和寿はこの学校全体を自分の居城だと思ってるわけでしょ?」
「だったら、この学校の認知自体を変えれば良いんじゃないかな?」
黎慈は衣百合の話に希望が見えた。
「具体的にはどうするんだ?」
景佑が衣百合にそう聞く。
「学校全体で“そういう雰囲気“を出せば良いんじゃないかな?」
なんだか曖昧な内容だ。
ただ、可能性としては捨てきれない。
「具体的な内容はあるのか?」
黎慈がそう聞く。
「ん〜、例えばだけど、全校生徒の和寿の認知を変えるとか?」
「あの人、表ではものすごく善人だから、そのギャップを利用すれば良いんじゃない?」
「少なからず和寿に被害を受けた生徒は存在するわけだから、その人たちを使えば…」
「…その作戦、俺ら以外の協力者にものすごくリスクがないか?」
景佑が考え込んでいて下がっていた頭をあげ、衣百合に言った。
「あ…」
衣百合は気づいてなかったようだ。
口がポカーンとなっている。
「俺ら以外の協力者はやめよう、危険すぎる」
黎慈がそう言うと、二人は了承したかのように頷く。
「でも、協力者がいないとこの作戦は厳しいと思うよ?」
衣百合がそう言う。
「…良い考えがある」
景佑は何かが閃いたようだ。
そう話していると、昼休みが終わるチャイムが聞こえてきた。
「昼はここまでだな。放課後、またここに集合でいいか?」
黎慈が言う。
「問題ないよ」
「大丈夫だ」
二人はそう言い、その場は解散した。
授業が終わろうとしていた5時限目が終わった。
「あ〜ねむ」
眠い目をなんとか起こしながら迎えた6時限目。
教科は数学だった。
いつもなら手厳しい担当教師がくるはずだが、今日は違った。
授業開始のチャイムと同時に教室に入ってきたのは、なんと和寿だった。
黎慈は意図せず緊張した。
おそらく景佑も同じだろう。
いくら夢の中での記憶がないと言っても、流石に背筋が凍った。
「挨拶良いから」
教室に入ってくるなり、和寿はそう言った。
「今日は数学の担当教師がお休みなので、自習してくださいとのことです」
「課題があるならそれを」
「あと…」
和寿が一呼吸置いた。
「これは独り言なんだけど、授業が終わるまでこの教室には来ないから…」
生徒から歓声が上がった。
「ちょいちょい、あくまで他の教室に迷惑を掛けないでね?」
「じゃあ、先生は職員室まで戻ります」
和寿は教室を出て行った。
黎慈は疲れていたのもあって、一時間分寝ることにした。
今は和寿に感謝である。




