第四十三話
「不安定な状態になると、一時的に現実と夢の境目がなくなり、自由に行き来できるようになると推測されます」
「まだ正確には分からないのか…」
景佑は少し憤りを感じているようだった。
「…すみません」
「君が謝ることじゃない」
黎慈が必死に取り繕う。
「その後はまた夢の中に戻ってきてもらいます。そこが問題です」
「一度夢の世界に入ると、もしかすると現実へと戻れなくなる可能性があります」
「どうして戻れなくなるんだ?」
黎慈が疑問に思い、質問をする。
「先ほど申し上げた通り、夢の世界が不安定な状態になります」
「何が起こるか私共も未知数です。最悪の場合、二つの世界が消えてしまう可能性もあります」
「その可能性を込みで、どうぞお考えください」
「とりあえず、話し合わせてくれないか?」
黎慈がそう言う。
「どうぞごゆっくりお考えください」
三人はその場を離れ、話し合うことにした。
「俺は協力したい。君を助けるためにも」
黎慈は彼女の方を見て話し始める。
だが景佑は乗り気じゃないように見えた。
表情が強張っている。
「俺は…まだ分からない」
「助けたい気持ちは黎慈と同じだけど、さっきのを聞いた後だとどうしても踏み出せないんだ」
景佑が言っていることも多少なりは理解できる。
自分を守りたいのは当然自分。
しかも助ける相手が悪態をつかれた相手ときた。
躊躇もするだろう。
「私は、君たちに任せるよ」
「私が招いた事態だし…」
少し謙虚に感じた。
「俺は協力するけど、景佑はどうする?」
「…少し考えさせてくれ」
景佑はその場を離れた。
「…どうするの?」
「見に行ってくる」
黎慈は景佑の方を追いかけて行った。




