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第三十五話 謎の場所

「今日は外を探索してみないか?」

 屋敷に着くと、景佑が提案をしてきた。                      

「前回みたいに正面から入ると、待たれている可能性もあるわけだし、今のうちに裏口的なのを探しておいたほうがいいんじゃねえか?」

合理的だ。

「確かに、それもそうだな」

二人は別れて、屋敷の周りを探索することにした。


黎慈は右周りに見ていくことにした。

 改めて屋敷をまじまじと見ると、年代的な劣化のような錆などが見当たらない。

 窓などもどこにも見当たらない。

幸い、外には特に誰もおらず、隅々まで探すことにした。

 数十分探索したが他にも目立ったものは見つからなかった。

ついに屋敷の反対側まで着いてしまった。

「何もないな…」

 特に収穫がなかった黎慈は、景佑もここにつくだろうと考えしばらく待つことにした。


数分待っていると、景佑が走ってこちらに向かってきた。

景佑がこちらに手招きをしていた。

 黎慈は景佑の方へ向かった。

そこは庭のような空間になっており、噴水や芝生などが綺麗に整備されていた。

「何かあったのか?」

「ああ」

 黎慈は景佑が歩いていくのを静かに着いて行った。


二人は噴水の近くについた。

景佑が噴水の横にある芝生を指さす。

 黎慈には何もないように見えた。

「?何もなくないか?」

 景佑はその芝生がある場所に数回ジャンプをした。

 何やら板材が軋んでいるような音がする。

 黎慈は困惑した。

「もしかして…」

「おそらく、隠し扉だろうな」

 もう一度よく見てみると、その芝生がある場所が不自然に他の場所よりも浮いている。

二人はその場所を芝生ごと持ち上げた。

 かなり硬く癒着しているらしく、少しの力ではびくともしない。

「仕方ないな…」

 景佑はそう言うと、拳を握り始めた。

おそらく、ブラムを使うのだろう。

 黎慈はその場所から少し離れ、見守った。

「へっ!」

 掛け声と共に光が散らばる。

黎慈の方に飛んでくる破片などから顔を手で覆った。

 もう一度見ると、人一人が入れそうな穴が空いていた。

 近くまで行ってもう一度見ると、下に階段が続いていた。

「行くか」

 景佑の声に首を縦に振り、向かうことにした。

景佑を先頭に中に入り、階段を下って行った。


幸い、天井に明かりが灯っていた。

十分に警戒しながら降りていくと、すぐに扉があった。

 臨戦体制で少しずつ扉を開けると、そこには真っ直ぐに続いている通路があった。

 屋敷の中とは違い、洞窟のような雰囲気だ。

空気も地上と比べて冷たく感じる。

 二人はまた奥へと進んで行った。


少し先まで行くと、右側に扉があった。

 ただ、中から人の声が聞こえる。

二人は扉に耳を立てた。

「…す…て」

 どうやら化け物ではないらしいが、よく聞こえなかった。

先ほどと同じようにゆっくりと開けると、少し大きな通路に出た。

 ただ、両端に鉄格子で囲われた部屋が無数に奥へと続いている。

まるで刑務所のようだ。

部屋の横の壁には謎の数字と誰かの名前が書いてある。

『3ーA 竹中美夏』

 外から見るには、中には特に何もなかった。

 扉を開けて中に入ろうとしたが、しっかりと施錠がされており、開けるのは無理だった。

二人はまた奥へと進んで行くことにした。


「なあ、この場所おかしくねえか?」

 歩いていると、景佑が話し出した。

「おかしいって、何が?」

「いや、屋敷の中と比べて化け物が居ないし、声が聞こえた割には誰もいないっていうか…」

 黎慈は特に気にしていなかったが、確かにおかしな話だ。

 屋敷の中では存在していた兵士の化け物が、誰一人としていない。

 声も、鮮明に聞こえたわけではないし、空耳の可能性もあるが二人同時に聞こえた時点で誰かがいるのは確実だ。

「確かに…」

 そして、妙に“静か“だ。

環境音すらなく、二人以外に完全に無音だ。

 直感的にこの場所はマズイと感じた。

「一旦出よう。絶対に何かある」

 黎慈は悪寒がした。

「ここまで来て出るのか?もう少し先まで行かないか?あの声の主も気になるし」

 景佑の言っていることも多少なりは理解できる。

「もう少し慎重になるべきだ、景佑。何かあってからじゃ遅いんだ」

「そういうもんか?もっと大胆にだな…」

 その瞬間、どこかで金属音がした。

二人は顔を見合わせた。

「黎慈、今の音…」

「ああ、“誰か“いる」

 二人は頷き、先に進むことにした。

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