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第二十一話

「この建物がある位置、現実世界だと学校がある場所なんだ」

黎慈はイマイチよく分かっていなかった。

 この世界は、確かに現実と似ている。

場所や位置関係がまんまそっくりである。

「確かに、今までの体験を考えればあり得るのか?」

「あり得るってか、実際にこうなってる訳だしな」

 景佑の言葉に半身半疑になりながらも、とりあえず信じることにした。

そう納得した黎慈に、景佑がさらに話し始めた。

「つまり、この夢の世界は現実と干渉しあっている、のかもしれない」

「どういうことだ?」

 また訳のわからないことを言う景佑に、さらに疑問が増してきた。

「さっき、この建物の中でとある人と遭遇したんだ」

 黎慈は先程女性が言っていた人だと予想した。

「俺らの学校の二年生担当、主任の和寿に、、、」

「!!!」

 景佑から出た人物に、驚きを隠せなかった。

だが、少し前にしていた予想は大当たりだったようだ。

「やはり、和寿が原因か、、、」

「らしいな」

「あれ?でも、この世界に迷い込んだ人を探しに行ってるって聞いたんだが?」

「なんかトラブルあっても困ると思って、待ってたんだ。まだそんなに進んでないからな」

「そうなのか。じゃあ急ぐか」

 そう言って二人は屋敷の奥へと進んで行った。



通路を少し進むと、右側に扉があった。

 二人は顔を見合わせ、ゆっくりと扉を開けて中に入っていった。

中に入ると、本棚が無数に置いてあった。

 その本棚の間から、声が聞こえてきた。

二人はそっとしゃがみ込み、その声に聞き耳を立てた。

「あの人に探せって言われたけどさ、正直だるくね?」

「わかるわ〜。俺らは奴隷じゃねえっつうのな」

 声のする方向に、そっと移動して行った。

本棚の隙間から覗き込むと、まるでおとぎ話の世界に出てくるような鎧を着た兵士がいた。

 手には葉巻を持っており、煙を吹かしていた。

さらに話を聞こうと、もう少し近づくことにした。

 ガサッ。

景佑の方を見ると、落ちていた本を踏んでしまったようだ。

「誰かいるのか!!!」

 その兵士たちは勘づいたようだった。

黎慈は戦闘になると感じ、景佑にアイコンタクトをとった。

 景佑が首を縦に振り、その数秒後に大きく物陰から飛び出した。

「なっ、誰だお前た、、、」

 言葉を聞き終わる前に一気に兵士の前まで踏み込み、正拳突きをブラムと共にお見舞いした。

 その兵士は灰と共に消えていった。

もう一方の兵士も、景佑が相手していたようで、黎慈が倒し終わると同時に倒し終っていた。

 二人は部屋を見渡し、自分たち以外に誰もいないことを確認した。

二人はその場に座り込んだ。

 数秒後、黎慈は景佑にさっきの奴らの正体を聞いた。

「なあ、さっきの奴らって」

「おそらく、化け物と同種の存在だろうな」

 この建物外で出会った化け物は、基本的には人型ではなかった。

自我も持っていない。

 だが、ここのは明らかに何かが違うのを今の戦闘で感じた。

「やっぱり、この場所は異様な空間だな」

 二人は先を急ぐために、部屋を出た。

 歩きながら、化け物たちの会話を整理した。

「最初にあいつらが言ってた、“あの人“って」

「おそらくだが、和寿だと思われる」

 やはりか。

「さっき言いそびれたが、この世界にいる和寿なんだが、、」

「何故か貴族のような格好をしてたんだよな」

「態度も自分が世界の中心で回っているように横暴で」

 黎慈は景佑の話を詳細に聞くことにした。

「詳細に教えてくれないか?」

「ああ」

 二人は少し歩くペースを落とした。

「まず、この建物に入ると大広間のような場所に出るんだ」

「その場所にいたんだ。和寿が」

「まるで待ってました、と言わんばかりの体勢で」

「したら、『誰だか知らんが、この聖域に立ち入るやつは一匹たりとも逃がさん』て言って、脇から続々と化け物たちが出てきたんだ」

「俺はとりあえず、この通路まで逃げてきたわけだ」

 黎慈は頷きながら、話を聞いていた。 

通路を話を聞きながら歩いていると、大きな扉の前についた。

「、、、入ってみるか?」

 景佑は周りを見渡した。

「他に行くところも無さそうだしな」

 黎慈は扉のドアノブに手をかけた。

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