第三話 俺のチートはどこですか!?
壁打ち小説3話目です。
続きはいつ上がるかわかりません。
壁打ちなのですみません…。
「やあ、来たね圭くん…と、おや?真昼さんもかい?」
神父様の元にシルヴィアさんと真昼と3人で行くと少し困ったように俺と真昼を見比べる。
方や疲弊し、方や激怒し…。そりゃ神父様もどうしていいか分からんわな…。
「すみません神父様…バレちゃいました…」
背中を掴まれたまま何とも言えない状態の俺は神父様に伝えると彼は笑っていた。
「やはり女性に隠し事ができないのは男の性ですかね」
「神父様も経験が?」
「えぇ。私も冒険者時代に少しありましてね」
まあ昔の話ですよと話を切り上げる。
「真昼、兄ちゃんは冒険者になるけど、絶対に死んだりしないからならせてくれ。行動に移さないと家に帰れないんだぞ?」
「…確かに手がかりを見つけないと帰れないのはわかってるし、帰りたいとも思うよ?でも、兄さんだけを危険な目に合わせるのは嫌」
「じゃあどうしろと?まさかお前も冒険者になるとか言わないよな?」
「わかってるじゃん」
「ダメに決まってるだろ!お前が傷つくのなんて見たくない!」
「そんなの兄さんの勝手でしょ!?私だって兄さんが傷つくのを見たくないんだよ!?」
俺と真昼の口論が加速するのを見かねて、神父様がため息をつき、シルヴィアさんはオロオロしていた。
「圭くん。君は自分が冒険者になるけど真昼さんが冒険者になるのが嫌な理由は何だい?」
「俺は多分ですけど弱いと思います。真昼を守りながら冒険者なんてきっと出来ないはずです。でも、自衛くらいなら出来ると思うので…」
「そうですか…。真昼さんはどうです?」
「…私はお兄ちゃんと離れるのがいや…。お兄ちゃんが私を守ってくれるのは嬉しいけど守られるだけなのはいや……。お兄ちゃんの背中を守りたい…。お互いに守り合えば絶対に死なない…と思うから」
真昼の言葉を聞いて頭に登っていた血が冷めていくのがわかる。
真昼も真昼なりに俺のことを守ろうと考えていた。
嬉しいような何とも言えない感情が湧き上がったが少し恥ずかしくなり顔を逸らす。断じて不意打ちお兄ちゃん呼びにドキッとしたわけではない、断じて。
「では圭くん。もし彼女に自衛を出来る力があれば一緒に冒険者になりますか?」
「……はい。自衛ができるなら…」
「そうですか。ではこちらのスクロールを」
そういい神父様が2枚のスクロールを渡して来た。
「コレは?」
「コレはステータス識別の魔法が込められたスクロールです。知人に魔法を込めて貰ったものが先日届きましたので。そのスクロールを持って『ステータス識別』と唱えると中に込められた魔法が発動してその紙に自分の現在のステータスがわかります」
「ステータスって概念があるんだ…ゲームみたいだね兄さん。あ、そう言えば兄さんがこっちに来て『ステータス』とか『ステータスオープン』とか言ってたのはコレが見たかったの?」
「いつ観たのか知らんがそれは忘れてくれ。記憶から消し去ってくれお願いします」
「やだ。厨二病かと思ったから笑い話にさせてもらうね」
可愛い妹じゃなければ手が出ているところだが今は勘弁してやろう。
異世界転移ものには付きもののステータスチェックのお時間がやって来たんだ。
もしかしたら俺にはチートがあって実は世界最強になって女の子を救ってハーレムを作ったりとか出来るんじゃないかとか五割くらいしか考えてない。
チートがあれば真昼を守るのが捗るだろう。あってくれチート!
「じゃあ俺から…『ステータス識別』…おぉ出た!」
魔法が発動するとスクロールが青白く輝き、文字が刻まれていく。
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ステータス
楠木圭
17歳
体力 B
攻撃力 C
耐久 A
魔力 D
持久力 C
特殊技能
・自動回復
魔力が有れば傷の治りが速くなり、毒状態などの進行を遅らせる。毒状態が治ることはないので解毒薬は必須。
・硬化
1日に3回使用可能。継続時間は5分で耐久のランクを一段上げることが出来る。が、効果が切れると1時間素のランクから一段下がる。(3回使用できるが重ねがけは不可能)
・毒系軽減
毒関連の物は効果を半減させる。
・重複
同じ物を重ねることができる。
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「コレは……凄いのか凄くないのかわからん…」
「特殊技能が四つもあるのは凄いですよ。私は三つでシルヴィアは二つ。平均的に二つの人が多いですからね。それにステータスもS、A、B、C、D、Eの順なので耐久と体力は上級冒険者にも匹敵しますよ」
「ちなみに神父様のステータスって聞いても?」
「良いですよ」
そう言いながら俺の持っているスクロールと似たような物を渡してくる。
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ステータス
エド・マクスウェル
39歳
体力 A
攻撃力 A
耐久 A
魔力 A
持久力 A
特殊技能
・聖剣術
過去に存在した聖剣の力を模倣した魔法剣術。死者に対して特効を持つ。
・魔剣術
過去に存在した魔剣の力を模倣した魔法剣術。生者に対して特効を持つ。
・回復魔法
傷を癒す魔法を使用できる。
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「えぇ……チートやん」
俺結構なチートなんじゃね?って調子に乗ってごめんなさい。
え?神父様強すぎない?なに聖剣に魔剣って…えぇ…。
「コレは現役の頃のものなので流石に今は歳もあるので落ちてると思いますよ。コレでも一応A級冒険者だったので」
「いやでも、えぇ……」
ほんわかした神父様のステータスがとんでも無さすぎてドン引いていると真昼の方から青白い光が上がった。
「ほわぁ!」
シルヴィアさんの驚きの声に思わずそちらを向く。
「はい、兄さん。私も冒険者になるね。このステータスなら自衛できるから問題ないよね?」
「ん?…はぁ!?」
渡されたスクロールを見て目を見開いた。
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ステータス
楠木真昼
16歳
体力 S
攻撃力 S
耐久 B
魔力 A
持久力 A
特殊技能
・超回復
魔力がある限り、傷の治りが早くなり、解毒も進む。(自動回復の上位技能)
・魔刃
魔力を刃に纏わせ、5メートルくらい飛ばせる斬撃を撃てる。
・雷撃魔法
雷系の魔法を使用できる。
・風魔法
風系の魔法を使用できる。
・水魔法
水系の魔法を使用できる。
・氷魔法
氷系の魔法を使用できる。
・隠蔽
隠し事が上手くなる。ステータスを隠蔽する事も可能。
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「いやコレは自衛どころじゃないだろ……」
神父様の現役以上のステータスって何だよコレ…。
流石に神父様とシルヴィアさんもびっくりして口開けてるよ…。
「Aまでは死ぬ気で頑張ればステータスを上げることは可能ですがSとなると…才能か神に祝福されてるかのどちらかですね…」
「特殊技能が7つもありますよ…コレ過去にいた勇者様と同じくらいなんじゃ…」
「魔法関連は才能もありますが、一応自分で身につけることが可能な技能ですのでこの1ヶ月魔法書をよく読んでいたのでそれで身についた可能性もありますね…流石に1ヶ月でこの修得率は魔法職の方でも滅多にいないと思いますけど…」
あんぐりとしていた神父様が戻ってきて咳払いと共に真剣な顔をする。
「こほん…。シルヴィア。ここで見たことは他言無用ですよ。真昼さんは隠蔽を使ってステータスを隠蔽しておきましょう。本当のステータスは本当に信頼のおける人にしか教えてはいけませんよ。貴女たちの目的を果たす以前に、貴族や国の権力者たちに目をつけられる可能性があります。それは望まないでしょう?」
「わ、わかりました!」
「隠蔽ってどう使えば良いんだろ…」
「頭で念じるだけで大丈夫だと聞いていますよ」
確かに真昼がチート性能だからと言って国に兵として連れて行かれたり権力者の駒にされるのは困る。
俺にチートがないのだ。俺より強い真昼を力で守ってあげることは出来ないのかもしれない。
だがそんな物は関係ない。
俺は真昼のお兄ちゃんなんだ。
妹を守るためになら何だってして見せる。
ステータス隠蔽を発動している真昼を横目に誰にでもなく、自分に誓った。