人間
友人にカフェに呼ばれたらしいですよ?
「やあ、久しぶり。」
「まぁまぁ、ちょっと愚痴でも聞いておくれよ。」
「君はさ、超能力に憧れたことってある?」
「別にそれを笑ってやろうというわけじゃないさ。」
「ただ今日は君に、その超能力を授けようと思ってね。」
「ああいや、出ていこうとしないでくれ。別に宗教だとかの話じゃない。」
「まぁ信じてはくれないだろうが、与太話として少し昔話を聞いてくれ。」
「僕は特殊な目を持っていてね、人間に化けている怪物を見ることができるんだ。」
「オートマタだとか、レプティリアンだとか、そんな奴らがだ。」
「ちょうど首から上の擬態が解けたように見える。」
「この目は鏡や、写真に写っている人でも判断できるスグレモノさ。」
「能力のオンオフが出来ないというデメリットはあるがね。」
「これのせいで小さい頃から精神科によく連れてかれてたな。」
「そんなに人外がいたのかって?」
「ああ、心配はいらないよ。彼らが人間を裏切ることはない。」
「大昔は知らないが、今彼らが人間を襲うことはない。」
「彼らはあまりに長く人間界に居続けた。」
「その子孫は人間として育てられ、人間として死んでいった。」
「つまり彼ら自身も自分が怪物だと気づいちゃいないのさ。」
「なんでそんなことが分かるかって?それは後で説明するよ。」
「さて、僕はこの能力をどうにか他の奴らにも知らせようと躍起になるうちに、あることに気づいてね。」
「どうやらこの目について説明をした後にその人の前で手をたたくと相手にもその力がつくらしいんだ。」
「こんな風にね。」
ーーパンッーー
「おっと、騒がないでくれよ。この店を追い出されてしまう。」
「ほら、周りを見てみな。どこもかしこも怪物だらけだ。」
「そいつらが店を開き、コーヒーを淹れ、他の怪物と乳繰り合っているだろう?」
「ああ、なんでこいつらが自分自身のことを知らないと分かるかだったっけ?」
「今日、鏡を見てみるといいよ。」
後日、顔を覆う仮面があちこちで売れたらしいよ。