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第7話 仲直り

 多分違う園児のお世話をしながら、輝がタケゾーにぺこぺこ頭を下げているのを遠くから保育士が見ていたのだろう。

 最後に輝が謝ったタイミングで二人のそばにやってきて、輝くん、ちゃんとまこちゃんにごめんなさいできたのね。えらいね。じゃあ、これで仲直り、と、自分の左手に輝の両手、右手にタケゾーの両手をとって、重ねて合わせて、上下に手を振りながら言った。

 

 タケゾーの胸にはなんとなくわだかまりとか、謎とかが残った。

 それでも、所詮は幼稚園児だ。

 これから、みんなでボールぶつけしますよー、と、すぐに保育士が全体遊びを提案した。

 当てられた人は、枠から出てね。誰かにボール当てたらまた入っていいよ、と、簡易全体ドッチボールみたいなことが始まる。

 わーきゃー言っているうちに、いつのまにか輝と手を繋いでボールから逃げ惑っていた。


 二人は同じ公立の小学校に入学した。

 クラスは違ったが、学校の休みの日には連絡しあって、よく遊んだ。

 遊びながら、そう言えば、コイツ、幼稚園の時ってもっとよくしゃべっていたんじゃなかったっけ?と、タケゾーは思う。

 いての間にか輝は口数の少ない子供になっていた。

 そうだ。

 あの時からだ。

 おばあちゃんのことで喧嘩した後くらいから。


 タケゾーは輝の言葉を覚えていた。

 おばあちゃんの死を予言したことも。

 そう、今は少しはピッタリする言葉も覚えた。

 あれは、よく考えると、〈予言〉だ。幼稚園のオレは、輝が悔し紛れに嫌なことを言ってきたって思ってしまったが、あれば確かに予言だった。

 それから、小さな頃輝と遊んでるとき、二人で遊んでいるのに、3人分の道具を持ってきたり、誰もいない方向に話しかけていたことがあった。

 その時は、なんな変なの、くらいにしか思ってなかった。あまり深く考えるたちではないタケゾーは気にしなかったが、今考えると、やっぱり、なんかおかしくないか?


 輝は、そんな動作もいつの間にかしなくなった。

 それもあのケンカの後からだったような気がする。

 

 輝はあの時、〈言っちゃいけなかった〉と謝った。

 〈嘘をついた〉とは一言も言ってない。

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