第4話 オカ研
「どーよ、にーちゃん、そろそろオカ研に入ろうよ。」と、理科準備室で二人で弁当を食べてる時にタケゾーが言う。
「オカ研にははいらん。にーちゃん、じゃない。」と、輝はピーマンの肉詰めを頬張る。
「今だって、オカ研の部室に来でるじゃん。」
どう取り入ったかしらないが、タケゾーは理科準備室をオカ研の部室として利用できる取り決めをしたらしい。「いいんだよ、幽霊部員で。幽霊ってとこがオカ研らしいじゃない。」
「別にらしさをオレは求めない。今だって、別に来たくて来てるわけじゃない。お前が部室で飯を食うのに付き合ったら、ペットの飲み物を奢ってくれるっていうから来ただけだ。」と、輝はタケゾーに販売機で買ってもらったコーラを飲む。
「まあ、モノに釣られたとはいえ、オカ研に、ようこそ、だよ。
いいか、ここに連れてきたのも、オレはオマエに気を遣ってんだよ。
オレにとってオマエはオカ研の隠し球にして、宝なんだから。」
「なんだから、って、オレ、オカ研はいらねーし。」
コーラを飲む輝をじっと見てタケゾーはゆっくり言い聞かせる口調になる。「いいか、輝。
オレがなにより、オカルトに足を突っ込んだのは、オマエがおてこそなんだ。」
輝は最後のご飯を口に放り込んでもぐもぐしながら聞いていたが、タケゾーの言葉にそれが苦いモノに変わりでましたかのように飲み込んだ。
「それに関しては、本当に悪いことをしたと思う。オレ、ちゃんと謝ったよ。」
「謝られたよ。覚えてるよ。幼稚園児の記憶とはいえ、強烈だったから。
オマエ、あのとき、ごめん、って言って、こういうの、誰にでも見えるもんじゃないって、おばさんに言われたって。だから、誰にも言ってはいけなかった、って、そうオレに謝ったんだ。」