高2 クラス 春
そんな高校2年の4月春。
「うぃーす」と、タケゾー登場。
いったい誰だよ、この挨拶を日本中に流行らせたの。うんざりしながら、先に自席についていた輝は幼馴染の友人をだるそうに見た。
「お、にーちゃん、せっかく2年目にして幼馴染であり友人代表であり唯一無二の親友であるオレと同じクラスになれたっていうのに、喜びが少ないよ。」と、自称友人代表兼唯一無二の親友タケゾーは輝の机に両手をついてご機嫌で文句を言ってくる。「新学期早々平常運転のテンションの低さだなあ。」
「とりあえず、まず、にーちゃんはやめろよな。」
そっちは新学期早々平常運転のテンションの高さだなあ、と、言葉にはせずに輝は感心する。
幼馴染だからわかるが、学校モードで明るさを作っているわけではなく、この男は根っから明るく話好きなのだ。その無限のエネルギーはどこから湧いてくるのだろうか。
「1年目は別のクラスだったけど、今年は同じクラス。これは、去年オレが立ち上げたオカ研にお前を思う存分勧誘しろっていう神のお告げだな。」
勧誘なら、いくらでもするがいい。オレは入部しないけどな。と輝は思う。
「去年は7クラス中で同じになる確率だから、7分の1。今年は理系2クラスのどっちかに所属するわけだから、2分の1。」
「その確率合ってる?」
「多分。」
「いや、だけどさ、二分の1の確率で一緒のクラスになれるっていうのだって運命だよ。この世には男と女。それで巡りあう確率は運命の二分の一。」
「今の時代そんなこと言ってると炎上必死だよ。日本はアメリカに従ってlgbtqだからね。確率は6分の1?いや、なんかもっと組み合わせとか考えなきゃ会えないんだっけ?」
「いいよ、それ、もう。
オレ、文系寄りの理系だから。」と、タケゾーはゲンナリしている。「オマエ、そんな確率とか考えて面白い?」
「いや。全然。」
そんな新学期の始まり。