変化を自覚!
帰宅後 両親に 従魔獣契約が出来無かった事を報告をした。
おそらく 従魔獣の居ない者は 国中探しても誰1人としていない。私は欠陥令嬢になってしまう。。黒い霧が出てるだけでも 充分欠陥令嬢なのに。。だが!
「ルナ そんな事はどうでも良いのよ。あなたが無事で元気なら。ね!」
『ありがとーう! お母様!』
「ルナ 彼氏が出来たのか?」
『バカーー! お父様ーー』
私は自室で 右手を開いたり閉じたり 握り締めたりしていた。
自分の身体だが 何かが違う事がわかる。自分の変化を確信している。
「私は 一体全体 どうなってしまったのでしょうか?」
『覚醒したんだよ』
「覚醒?」
『そう!『愛の戦士』なんちゃってね』
「・・・」
私の身体に 何か?が起こった事は間違いない。アルジンネード様はあてにならない、、今後の為にも 自分の状態 状況を自分自身で理解して 把握しておく必要がある。
周囲の状況を見て確認した際 情報を分析して 自分に可能かどうか 何が最適か 処理して脳から身体全体に指令を出す。これを別の自分が行なっている様な感覚がある。
『私って こんなんだったかなぁ? 客観的かつ冷静に分析出来る思考? それに情報処理能力も高くて速い。物事に動じない。他人事の様だ』
肉体的変化も自覚している。身体に内包する溢れ出そうな程の力の量を感じ 鋭さとでもいうべき力の質の高さも感じる。内面的な力だけで無く。表面的にも 鋼というか鎧というか 物理的な硬さを自覚する。
『もっと確認しておかないと!』
そこで 夜中に自室の窓から抜け出してみる事にする。
私の自室は2階である。窓を開けて 下を見る。6m位の高さである。
「いけそう」
『当然!』
私は 窓から飛び降りる。真っ直ぐに落ちて行く。
「ドン ドン」
両足が 凄い勢いで地面に着いた。本来なら 両足を骨折するだろう。しかし 両足も身体も正直 何とも無い。
『この高さでも どうも無いな』
もう少し確認したい。私は 人があまり来ない森まで 思いっ切り走ってみた。
「凄まじい速度! 私って凄くね?」
『俺のおかげ 当然!』
それは驚異的な走力だった。また 速く走れるだけで無く。疲労感が無い 呼吸の乱れも全く無い。
「脚と腕の筋力が凄いのね。肺 心臓も凄いな。筋力・身体機能が かなり強化されているわ」
『俺のおかげ 当然!』
次に 大きな岩を 素手で試しに軽く叩いてみた。
「コツン」
岩が真っ二つに割れた。無傷で当然血も出て無い。
真っ二つに割れた岩を 今度は思いっ切り殴ってみた。岩は霧散する様に粉々に砕けた。手は当然無傷である。
「身体機能の強化 筋力の増強だけで無く パワーも 硬さも増強されているのね。。私って凄くね」
『俺のおかげ 当然!』
『でもうら若き乙女なのに、それってどうなん?』
無機質な物質の全てが『生物的な物』の様に見える。無機質な物質の全てが踊っている様に見える。
空気中にも キラキラ光っている何かが在る。
光の雪みたいに見えるので『ライトスノー』。
「よし 『ライス』と名付けよう」
『名付けのセンス ねーなー!』私は脳内の声を無視する。
『今のお前なら空だって飛べるぜ』
「えっ? 私って空を飛べるの?」今度は脳内の声を無視できなかった。
『あぁ 飛べるぜ。空を飛べるように頭の中にイメージしてみな』
私は 履いて来た靴 来ている服に そして自分自身に『浮かぶ様』に頭の中にイメージする。
すると 一気に身体が浮いて 凄い勢いで雲を突き抜ける。宇宙に達しそうな勢いだ。
焦った私は「ストーップ! ストップ!」
身体は 急に停止する。
「私って凄くね! 私は空を飛んでいる 人が初めて空を飛んだ 人が空を飛べるなんて」
つい 言葉が出てしまう。
「でも なんて綺麗なんだろう。夜の空 星に手が届きそうなくらい。星が綺麗。上空は ちょっと寒いけど、、この能力 思っていたより 凄いなー? なんだ?」
『だから言っただろ 俺のおかげだ 当然!』
「うん。ありがとうアルジンネード様」私はアルジンネード様に御礼を伝える。
そのまま 上空で 手のひらを上向きに差し出して ライス達に念じる。『集まれ』
すると ライス達が 手のひらの上に 1カ所に集まって来た。私は自分を覆っている黒い霧を混ぜていく。雪が圧縮されて氷になる変化と同様に ライス達がどんどん集まって来て霧と混ざって 白と黒のマーブル色の氷の様になる。
『これは?』
叩いてみる。私の力だと 簡単に叩いただけで 岩が真っ二つに割れたのだが この氷の様な物は 割れない。
「かなり硬いね。。何だ?」
「よし 『ジーヴァル』と名付けよう」
『さっきよりはマシかな』
『ジーヴァルの形状を変化させてみろよ』
「えっ? そんなこと出来るの?」
「あぁ お前なら出来るさ』
ジーヴァルを 防御壁・障壁にしてみる。『ジーヴァウォール』
ジーヴァルを 槍状にしてみる。長い槍になる。『ジーヴァスピア』
ジーヴァルを 剣状にしてみる。長い剣になる。『ジーヴァソード』
「なるほど。なるほど」
『まあまあだな』
確認の為 剣で軽く 空気を試し切りする。
「シュン」
驚く程の切れ味である。上空を凄まじい斬撃が 走って行く。
「おおーー 私って凄くねーーー!!」
『俺のおかげ 当然!』
その後しばらくは 毎日夜な夜な抜け出して 自分自身の能力の把握と確認を行なっていたのである。